【読むPodcast | マネトレ30-後半】「雇われ社長に事業売却することに。売却資金を調達させる方法は?」

黒字事業を雇われ社長に売却することになった質問者さん。買い手(雇われ社長)に売却資金を調達させる方法を大久保先生に質問。財務アタマが鍛えられた質問に大久保先生からお褒めの言葉も!(音声はこちら

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円道

ロイヤリティーが15万で……

大久保

えーと、いま営業利益500万出てるけど、これっておそらくロイヤルティー払ってないでしょ。

円道

あ、営業利益の話ですね。

大久保

そうそう。

円道

そうですね、ロイヤリティー払ってないでしょうから。

大久保

あと、家賃27万っていうのがわかんなくて、これはあげてんのか、わかんないけど、25万で借りてるところを27万で貸すとか、そういう話なのか。

円道

たしかに。

大久保

そうすると少し利益が落ちるよね。で、おそらくこれは前提は事業譲渡で考えてると思うので、要するに株は売らないけれども事業を売ると。だから、賃貸借契約はいまの設立した会社でやるんだけど、会社の事業の中身だけを彼に別の会社に買ってもらうと。で、福祉の事業をやるっていうことだと思うんですよ。おわかり?

円道

ほぉほぉ。会社を売るんじゃないと。事業を売るんですか?

大久保

うん。最後に「株の売却も考えましたが」って書いてあるから、これは株を売るパターンで。

円道

要は会社を売るってことですよね。

大久保

そう。それはホントは会社を売るってことだけど、彼が言ってるのは、たぶん事業を売ろうと思ってるんだろうなと思っていま読んでるんだけど。

円道

なるほど。

大久保
そのときに、福祉関係だからライセンスとかが必要だとすると、もう1回事業譲渡だとたぶん取り直さなきゃいけない。そういう諸々の契約関係をどうするのかっていう問題があるかなとは思うけどね。事業譲渡のときは契約をぜんぶ入れ替えるから。株を売るときはべつにそんなことをしなくて、元々の法人で契約してれば問題ないんだけど。っていう前提かなとは思ってて。で、売値が1,800万で利益が320万ぐらいになるから、5年ちょっとの回収だよね、1,800÷320で5.6ぐらい。
円道

ロイヤリティー180万、500万から引いてですね。

大久保

そう。それで納得してんなら、それはそれでいいかなと思うんだけど。で、質問は借入をどうするかで、これ、MBOの資金で借りれる可能性があるかなと思ってはいるけど。

円道

MBO資金だと2,000万ぐらい借りれるってことですか?

大久保

いや、2,000万とは言わないけど、ストック型のビジネスで2年の実績があって利益出てますと、そうすると、ひとつは、全額はわかんないけど、話はできないことはないのかなって気はする。

円道

運営者、変わってないですもんね。

大久保

そうそう。

円道

で、いったん次の年320万は、ほぼ確定みたいな状態か。

大久保

うん。しかも、銀行の返済も終わってるようなビジネスだとするならば、0ではないと思う。で、2つめが株を売るパターン。株を売ると、そもそも2年程度の社歴なんだけど、「厳しい」とは書いてあるけど、ホントに厳しいかどうかだよね。2年で営業利益がちゃんと出てる会社、あるいは3年なのかわかんないけど、株を彼に渡すときに、その会社で借りてしまうと。まあ、MBOだよね、孫さんがやったやつ、ボーダフォンのとき。

円道

MBO、最近は多いですよね。

大久保

彼が買う会社で調達をするっていう。これは金融機関に説明しないと。社長貸付にたぶんなるので。

円道

仮にA社だとして。

大久保

A社がたとえば運転資金として1,000万ずつを政策金融公庫と保証協会で借ります。だから自己株式として買うってことかな。

円道

で、いま1,000万ずつっていう想定でおっしゃいましたが、2,000万を運用資金で借りたやつはMBO資金に使っていいんですか?

大久保

いや、あんまり良くない。説明は必要。だからMBOの資金をこの箱で借りるっていうことも1つ。個人じゃなくて。それから、自己株式で買う。会社が自分の株を買ったら純資産は減るけど……えー、何ていうのかな、難しいね説明が。

円道

いまのパターン、運転資金として2,000万引っ張って、それで……

大久保

だから説明したほうがいいと思うけど、とにかく自己株式として買う。社長貸付になんないために。

円道

自己株式としてA社がA社の株を買うということか。

大久保

A社自身がA社の株を買う。で、90パーとか買っちゃって、1,800万だとしたら10パーセントの180万ぐらいは自分で買う、社長個人で。

円道

社長個人が10パー持って、90パーは会社が持ってる形にしちゃうってことですか?

大久保

そうだね。そうすると、会社が持ってる分は数えないから100パーセントのオーナーになるので、それも銀行と話してやって……ごめん、運転資金っていうのはちょっと乱暴だけど、話してやっていくっていうほうがいいのかなっていうふうに思ってる。その場合、たぶん家賃は取れないと思うんですよね。会社ごと売っちゃったら、この会社が家賃契約をオーナーとしてるだろうから。あ、この人が物件を持ってんのか。

円道

それは個人の物件じゃなかったですっけ。

大久保

あ、ごめん、自社所有だ。そしたら家賃は取れるからいいんだ。だから、株で売ってもぜんぜんいいんじゃないですか。株で売ったほうが簡単じゃないですか、今回のケース。

円道

あれ、自社所有の場合って、いまのMBOのスキームだと、そのA社がそのまま持ってっちゃうんじゃないですか?

大久保

違う違う。自社所有っつってもあれでしょ、別の本業のほうのやつでしょ、おそらく。

円道

じゃあ、A社が持ってるものじゃないってことか。

大久保

そうそう。だから、どうせ家賃取れるしっていうことで。

円道

なるほど。

大久保

なので、そうやって借りてくるか、あとは信頼の問題もあるけど分割払いだね。普通になっちゃうけど。

円道

ああ、個人間の話で?

大久保

個人間で。それでもう、その会社自体も利益出てきたら1期とか2期出たら調達もできるようになってくるじゃん?ただ、「まとまった金が欲しい」って言ってるから、なるべく調達はしたいけど。

円道

でも、この思考からすると、まとまったお金作って、次にまた投資したそうですよね。

大久保

ね。だから、「1株10万円の資本金の会社」って言ってるけども、利益が500万、2年出たとしたら1,000万ぐらい出てるから、おそらく資本の部は1,000万ぐらいの価値があると思うの。わかんないけどね。納税後とかは500万とか、そういう感じにはなってると思うんで、いいですよ売って。「1株いくらで売ってもいいか」っていったら、いいですよ。これ、同族だったらダメだけど、第三者間取引はいいですよね。悪意があればあれだけど、例えば脱税みたいな。税理士さんだとどうしても、財産評価基本通達っていうのがあって、親族間で売るとき、要するに相続税対策のための規定があるから、税務上の時価じゃなきゃダメって本気で言ってるやついんだけど、したらM&Aなんか成立しねえじゃねえかって話で。第三者間は自由じゃない?その会社に価値があると思ったら、純資産が100万円でも1億円で買ったっていいわけだから。なので、ここはまったく身内じゃなければ関係ないと思っていいですね。

円道

そうなんですね。「税務上の法律にのっとった計算で」とかっていう規定の中じゃなくていいんですね。

大久保

じゃなくていい。税務上の規定は時価だけど、それを計算するための通達っていうものがあるだけなので。それを言ったら株の売買できないもんね。

円道

まあ、たしかにね。

大久保

だから、それは誰がなのか、だけなんで。

円道

そうですよね。自由市場じゃなくなっちゃいますもんね。

大久保

そうそう。なのでそれは自由です。ただし、その1,800万で10万円で作ってるから、株を売った場合は1,790万の20パーセント課税、個人で。

円道

1,790万?ん?

大久保

1,800万-10万円。

円道

ああ、そこの話ですね。

大久保

1,790万の20パーセントは課税されるの、個人で。ただし、お金は個人に入りますと。だから1,500万ぐらい残ると。一方で事業譲渡、事業で売った場合は、いまあるA社にお金が入るのでA社が課税されると。で、A社の使い道がないんであれば無駄だよね、35パー取られるから。

円道

個人で20パーと、法人でやると35?

大久保

30何パーとかで。しかも、そこから個人に持ってこれないから。法人で今後投資していくんだったら事業譲渡でもいいと思うんだけど、個人で投資したいんだったら株を売ったほうがいいかなあと。

円道

なるほど。残るお金は個人でやったほうが残ると。

大久保

そうそう。

円道

なるほどですね。そうすると、整理すると、方法論として何パターンいま出ました?MBOのケースもありましたし。

大久保

まず売却方法として、株の売却か事業譲渡。で、それは個人に入るか法人に入るか。で、その資金調達の方法としては、まず個人でMBOの資金が借りられないか、実績をもとに。それから、株の売却の場合はA社で調達ができないかどうかの検討、自己株式の買い取りも含めて。で、それも最悪難しければ、いったん未払いにするなりして、1年ぐらい調達できるような形にする。あるいは、貸す。金利を取る(笑)

円道

ああ、そのパターン、金利っていう。法律の範囲内だったら、べつに何パーっていうのは勝手でいいんですか?

大久保

出資法ならいいです。

円道

ああ、いいんですね。そっちのほうが亜流というか、フレキシブルな対応としてそういうやり方もあるっていう感じですかね。まっとうな、って感じじゃないですね。

大久保

うん。かなっていう感じですかね。

円道

なるほど。ちょっと細かくぜんぶの話はしきれないと思うんで。でも、大枠、たぶんこの方頭良さそうなので、だいたい理解されたと思いますので。

大久保

マジメに答えましたよ。カテゴリーはやっぱりビジネスでいいかなっていう。

円道

お笑いじゃないくて?

大久保

(笑)

円道

いやぁ~、たまにはね。

大久保

「たまには」じゃねえよ(笑)

円道

ていうか、この方に感謝ですよ。何ていい質問をくださるんですか。

大久保

たしかにそうですよ。

円道

ぜひ、この方、もし何か質問ありましたら……

大久保

どんどんください(笑)

円道

どんどんください。この方のおかげで財務番組に戻りました。ありがとうございます。

大久保

たしかに。「超仲良しの関係性はどのように構築されたのか」ってね、また次回のお楽しみに。

円道

そこ、いる?(笑)

大久保

べつに。飲んでるだけですよ(笑)

円道

そうですね(笑)というわけで、ありがとうございました~。

大久保

ありがとうございまーす。

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