日曜日には、ネーミングを掘る ♯053 掘らない日曜日

今週は!

私事で大変恐縮ですが、
就職地として北海道を選択した長女が、
この春、2年間お世話になった牧場を退職。
道内にローカルガストロミーの
レストランカフェやオーベルジュを
展開する会社さんに
転職することになりました。

先日、里帰りしていた長女から
聞いた話ですが、この会社さんの
勤務のありようがなかなか面白い。

朝9時に出社、
まずスタッフ全員で朝食を食べ、
さらに夜の部が始まる前の(文字通り)
夕食もまたみんなで食べるのだそうです。

二度の食事は、その日、
お客さまにお出しするものがメイン。
自分たち自身が
メニューの内容を知らなければ、
お客さまにご説明できない、
ましてや「おすすめです」などと
言えるはずがないという考え方が
基本にあるのだそうです。
勤務時間も長く、お休みも週に1日だけ、
いまどき珍しいなかなかハードな
職場なのですが、社員の離職率は
とても低いのだと言います。

もうひとつ。先週あった出来事を。
ここのところ、住まいに関係する
会社さんとのお仕事が多いのですが、
熊本に本社を置く
建築会社Rさんもその一社で、
リブランディングのお手伝いを
させていただいています。
R社さんとは二週間に1度
くらいのペースで、
定例ミーティングを行っていますが、
このミーティングに、先週、
初登場されたYさんという方のお話が
とても興味深かったのでした。

Yさんは同じ九州域内にある
建築会社から独立され、
現在は前職で培った方法論や
前社のカルチャーを
全国各地の同業者さんに
広めようというお仕事をされています。

その中心にあるのは、
「つくり手と住まい手が同じである
ことに勝るブランディングはない」
という強い想いです。

Yさんが勤務していた建設会社は、
日本一の工務店とも称され、
独自の建築スタイルで知られていますが、
これまでにYさんを含む
40人以上もの社員のみなさんが
自社で家を建てているのだそうです。

その建築会社さんの家は価格も高く、
場合によっては県内平均の倍以上もします。
(勝手な想像ですが、
おそらく社員さんのお給料は
県内平均の倍はないはずです)。

それでも多くの社員さんが
自社で家を建てることを選択するのは、
その家が心から好きで、
自分も住みたいと思うから。
そんな社員たちの想いが周りに伝わり、
予約は何年先までも一杯、
しかも中古はビンテージとして
新築以上の価格がついている。
という状況をつくり出しているのです。

ふたつの話に共通するのは、
「売る」と「欲しい」の境目が
限りなくゼロに近いということです。
本来はそれが理想なのでしょうが、
ふたつは乖離していることがほとんど。
自社の商品やサービスに
さして思い入れがなく、
「仕事だから、生活のため」と
割り切って働いている人が
圧倒的に多いのではないでしょうか。
だからこそ、Yさんと長女の話が
新鮮に感じられたのかもしれません。

以上、今週はネーミングとは
直接関係の話でしたので、
タイトルを「掘らない日曜日」と
させていただきましたが、
私たちがいま
ブランドファーマーズインクという
会社でやろうとしている
小さなブルーオーシャンづくりには、
とても大切な考え方であるように思います。

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