「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。
52通目/大野からの返信
「未来を切り開く唯一の道」
勘違いさせてしまったたようです。自己肯定感は世間的な物差し、基準、尺度の話じゃない。ポジティブでも無理矢理に思い込むと言う次元でもない。本然的可能性の話。誰にでも何にでもなれる可能性はある。しかし、それは必ず何にでもなれることを意味しない。だからって、なれるものを探すのではお話にならない。つまり、なりたいものに進む過程の中でのみ結果的に「なるべきもの」になっていく。
僕の独断と偏見ですが、未来を切り開く唯一の道は、得たい理想を描き、その描いた理想に相応しい自分になること。これしかない。それが自分と向き合うということ。大理石の塊の中にいる理想の自分を覆っている石の部分を削っていく作業だ。
前回51通目/安田「自分を変えるとは何か」
人は知らず知らずのうちに自己暗示をかけている。その通りだと思います。で、大野さんは「私はできないヤツだ」という自己暗示を「私は何だってできる」という自己暗示に変えようとしている。ポジティブになるのはいいことですし、それを全否定するつもりはありません。ただしポジティブなだけでは足りない。そのポジティブさを何に生かすのか、どう生かすのかが重要なのです。そのためには何が必要か。それこそが己を知るという行為です。私はどういう人間なのか。何に向いているのか。何をやったらより私が生かされるのか。己をいじるのではなく、己を見ているもうひとりの己を成長させていく行為。それが自分を変えるということ。
ー安田佳生より
前々回50通目/大野「現実を変えたければ、鏡をいじってもダメ」
自己否定なき自己肯定は、自分から目を背ける行為。まさにその通り。何を隠そう僕の仕事は自分と向き合って頂く事をサポートしているのですから。
まず、可能性の立場に立つ事と自己肯定や自己否定の話はまた別の話。何かになれると信じこむ事とも本当は少し違います。ただあえて露骨に極端にそれに乗っかると、どの道ですよ、安田さんだって僕だって自分に、知らず知らずのうちに意図せず自己暗示をかけている。だからこそ、その暗示された自己を見つめ解放していく必要がある。
現実は己を映す鏡。現実を変えたければ、鏡をいじってもダメ。元の己をいじらないと。自分が源。その事は可能性を意味している。そこに立つことが自己肯定。
ー大野より
交換日記をする二人
●火曜日
安田佳生(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。
●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto.com/
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/