人間交換日記 107通目「従うべきはどの声か」安田

人間交換日記

「すべての人は、すごい可能性を秘めている」と信じる大野と、「多くの人は目的などなくただ存在しているだけ」と断ずる安田。人間の本質とは何か。人は何のために生きているのか。300文字限定の交換日記による言論バトル。


107通目/安田からの返信
「従うべきはどの声か」

もちろん私も「すべてのことがダメ」だと言っているわけではありません。おっしゃる通り、対話している層が違うのだと思います。「何かができない」「苦手を克服できない」などは些細なことだと私は言いたいのです。真に諦めるべきでないのは自分の人生です。つまり自分自身を諦めないこと。そのためには枝葉を捨てたほうがいい。人には得手不得手がある。好き嫌いもある。それはあるべくしてあるものだと思います。それは自分を生かすために持って生まれたアンテナのようなものです。頭で考えるのではなく心から湧きでる感情に素直に従う。そうすれば自ずと道は開ける。つまり自分の感情こそが従うべき声だということ。

前回106目/大野「従った声の通りのことが起きる」

安田さんへ

好き嫌いではなく、それが本質だと信じています。また、安田さんの言われる認めることの大切さを決して否定する立場も全くとってはいないんですよ。対話している層が異なっているだけかも。無理だと認められるという事そのものは、違う何かを可能性として信じられているからできる行為です。他の可能性の全ても無理だと思っていたら、生きてはいけないからです。僕もプロのミュージシャンになるのを諦めました。いいえ、諦められたのです。ここ重要です。夢を実現した人。目標を達成した人。それは諦めなかった人では無いのです。諦められなかった人なのです。どの声に従うか?但し、結局は従った声の通りのことが起きるわけですが。

ー大野より

 

前々回105通目/安田「元に戻ってしまいそうですが」

大野さんへ

愚かさの中にも愚かでない部分はある。堕落の中にも努力できる自分はいる。大野さんはその考えが好きですよね。多くの人はポジティブな助言を好みます。私にも可能性はあるんだ。私だって努力すれば何とかなるんだ。そう信じたい。でも信じきれない。だから誰かに後押ししてほしい。でもそれって解決につながるんでしょうか。短期的には勇気が出て心が楽になるかもしれない。でも現実はちっとも変わっていない。それは現実から目を背けているからです。私はぐうたらである。私には才能がない。まずそれを認めたほうがいい。“私にだってできる”ではなく“私には無理”だと認める。認めることによって新たな私がスタートするのです。

ー安田佳生より

 

これまでのやり取り

交換日記をする二人



火曜日
安田佳生(やすだ よしお)

1965年生まれ、大阪府出身。
2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

●金曜日
大野栄一(おおの えいいち)
株式会社一番大切なこと 代表取締役
https://ichibantaisetsunakoto. com
https://www.sugoikaigi.jp/coach/eiichiono/

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