第56回 重要なもの。得するもの。

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

【売れない新商品】

新規事業を企画したり、
新しい商品を売り出すときは、
だいたい売れる自信があるものです。

友人や取引先、お客様に話を聞いても、
これはいいアイデアね。
ニーズあるよ。大儲けだね。私もほしいね。
なんて言われ、いい気になって販売を始めます。

広告などで大々的にキャンペーンを張ったり、
SNSでバズったりすることで、
売れることもありますが、
まあ、期待どおりは売れないものです。

【重要なものでも買わない】

今日も世の中では、
無数の売れない商品が
飽きもせず量産されています。
私も量産のお手伝いをしているのですが。

この要因の一つは、
「商品のコンセプト」と「販売キャッチコピー」を
企画販売者が混同していることです。

例えば、
経営者向けの生命保険です。
「商品のコンセプト」としては、
経営者が万が一のときの保障として、
保険商品が組成されています。

中小企業の経営者にとってはとても重要なことで、
経営者亡き後に家族に借金が残されたり、
会社が無くなってしまうのを保険で防ぐ、
おおきな役割があります。

実は、この商品コンセプトどおりに販売しても、
そんなに売れなかったかもしれません。
経営にとって重要なことだとわかっていても、
自分の万が一のことを想像しないからです。

この商品が爆発的に売れたのは、
「節税効果」というキーワードが理由です。
利益の繰延ができる商品として、
販売したところ、一世を風靡したのです。
今はその節税効果も薄れて、
販売がジリ貧になりつつあるようです。

つまり、
お客様は「商品コンセプト」に賛同したとしても、
購入をしない事があり、
直近の興味や直接的な利害によって、
購入を決めることがたくさんあります。


【短期と長期と】

ビジネスアイデアは
「商品コンセプト」で表現されることが多く、
他の人に話をすると、いいねと賛同してくれます。
比較的長期の社会ニーズに合致しています。

「販売キャッチコピー」は
お客様の購入動機を直接刺激するものです。
これがないと、売上が上がっていきません。
今すぐ欲しい、今買わなければなどの、
短期の欲求に合わせることが多いようです。

副業でも起業でも、
販売者と企画者の2つの考えを持つ必要があります。
企業の中の役割においても、
両方を持ちえた人が販売促進を成功させます。

コンセプトとキャッチコピー。
長期と短期。
社会と個人。
ニーズと衝動。

出口や答えはないですが、
考え続けることになりそうです。

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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