第73回 後継者が引き継がない会社

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

【社長は憧れの職業か?】

跡継ぎ問題が話題になることがあります。
特に団塊の世代がつくった会社が、
後継者がいなくて困っているという話をききます。

血の繋がった子供がいたとしても、
後継者がいたとしても、
引き継ぎを断られたり、
任せることができなかったりして、
時間だけ過ぎていく事態になっています。

「経営者の息子」「次期社長」
なりたくてもなれないその立ち位置は、
神様から授かった、
裕福さの代名詞のようでもあります。
そんな憧れの職業であるはずなのに、
なぜ、引き継がないのか。
それは様々な事情が考えられます。

【人の問題】

ひとつ考えられるのは、人の問題。
中小企業というのは、
社員の生活を保証するという役割もあります。
社長は家族のように付き合って、
稼いだものを分配していくのですが、
後継者にとっては、
社長の繋がりと自分の繋がりは全く違います。
信頼の大きさや支払う給料なども
引き継ぐと考えると、
自由に経営することができません。
そんなめんどくさいことをするなら、
自分で会社をするなり、
好きな仕事をして生活をしようとするのは
自然なことです。

【お金の問題】

そしてもうひとつは、お金の問題。
後継者は、会社の借り入れと
所有権の移動に苦しむことになります。

後継者の血が繋がっていないのであれば、
個人では一生かかっても返せないような、
借り入れの連帯保証がついてきます。
さらに、社長の家族の生活資金と、
株の買取資金を準備しなければなりません。
そうなると、何のために会社の経営をするのか
疑問に思っても仕方ありません。
株を持たされないのであれば、
リスクしかないのです。

「経営者の息子」の場合も結局は同じです。
いずれ相続で引き継がれるのが前提とはいえ、
引き継ぐのに現金が必要になります。
さらに、相続にもお金がかかります。
現金を準備する必要と、
受け取る必要の2つのバランスをとるのです。
自分の生活に問題がなければ、
わざわざ引き継がないという判断もありえます。

【事業を手放す選択】

引き継ぐ事業が拡大する未来が
ひらけているのなら、
魅力的なディールに映るのかもしれません。
もしそうでなければ、
会社を売ったり、事業を閉じるということが、
会社の出口としての選択肢になりそうです。

おそらく、
事業承継問題も「なあなあ」で落とし所を見つけながら
それぞれ解決していくのだと思いますが、
後継者に断られて、引き継げないということも、
考えなければならない問題です。

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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