赤い出口、青い出口 第9回「ネットでサービスを売るということ」

このコンテンツについて
自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第9回 ネットでサービスを売るということ

期待値調整という言葉があります。
私の経験した仕事は、カタチのないサービスを売ることが多く、この「期待値調整」という言葉が社内でふつうに使われていました。お仕事をする際にお客様とトラブルにならないよう、スケジュールや内容、目的をあらかじめ決めましょうということです。ちょっと残念な意味としては、お客様には良いことばかり伝えてお仕事をいただき、後から悪いことを伝えて、お客様に商品の目線を下げることも期待値調整といいます。(新規顧客獲得の上手なフロント営業がそんなことを良く言っていました。)

期待値は「高い」「低い」であらわします。
受注や納品という時期を固定にしてしまうと、その時点の評価を気にするあまり、このような表現方法になるのでしょう。

ずっと売れない営業をしていた私は、数十人の営業さんがいるなかで楽に営業している人を見つけました。彼らは値引きすることなく、ずっと同じお客様とお仕事をしています。そして観察しているとある共通点に行きついたのです。

彼らは、期待値調整をしていませんでした。というより、期待値を上げ続けているように見えました。未来の姿を相手に伝えていたのです。ずっと先の未来にゴールを設定して、お客様のゴールを動かしつづけていたのです。お客様は、会うたびに期待値を上げ続けてくれるので、気持ちよく発注をくれます。

なーんだ、当たり前の話じゃないか!未来を共有するんでしょ?やってるよ!
営業経験者はそういうでしょう。発注をする側の社長も、当たり前の話として受け取るかもしれません。

さて、令和のマーケットを考えます。
これまでのインターネットでの取引は、お客様と未来を共有することが上手くできませんでした。売れるものは、目で見てすぐ機能がわかるもの。価格と価値がわかりやすく交換できるものが売れると思われていました。ネット上には、それらのモノを売ろうと機能の説明があふれています。決済ボタンを押すときの期待値を上げようと、必死に商品を説明しています。

動画配信サービスやSNSはこれを変えようとしています。売り手と買い手のあいだで、未来の共有が少しずつできるようになってきたからです。未来の共有ができると、お客様の期待値を上げ続けることができます。お客様と長くお付き合いできるというわけです。

これからネットでの販売を強化したい経営者のかたは、お客さまとの未来の共有をテーマに考えてみてはいかがでしょうか?例えば、Twitterでは営業とお客様との会話を公開すると、未来の共有が公開されることになります。お客様と勉強会や対談をライブ配信でおこなってもいいかもしれません。
お客様と長い間仕事をし続けたフロント営業のように、ゴールを動かしながら、未来を共有し続けることがネット上でも可能になったのです。未来の共有を公開することで、潜在顧客(視聴者)を巻き込んでいくことができます。それを見た人は新しいお客様になることでしょう。自社独自の「青い出口」となるはずです。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、
営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。
独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。

情報流通量の多少が、価値の大きさを決める時代となり、
「出口」の情報流通量を増やすことに重点を置いています。
これが「出口にこだわる」マーケティングの基となっています。

また、「出口にこだわる」実証として、
モロッコから美容オイルを商品化し、販売しています。
<https://aniajapan.com/>

商品の「出口」で情報が増えれば、ファンが増える。
「出口」に注力することで、新規マーケットの創造に力を発揮します。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

感想・著者への質問はこちらから