第46回 マスクが隠すもの

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

マスクが隠すもの

【国境で止められる理由】

「スーツケースを開けてください」
無表情な検査員に言われることがよくあります。
数年前、ドバイ経由で
ケニアとウガンダを訪問した際は、合計7回。
X線検査機を通るたびに開けさせられました。

私は中肉中背で、
身なりも汚くないし、
黒縁めがねの典型的な日本人です。
やましいことなんてあるはずもありません。
しかし、
人種や性別、時を超えて、
あやしい人認定を受けているのです。
もはや、グローバルスタンダードです。

「顔があやしいからだよ」
国境の先で待っている同行者から言われて、
私の国境を越える儀式は終わります。

そんな私にも朗報がきました。
国境を越える際の理不尽な扱いも、
個室に連行されるかもしれないドキドキも、
無くなるかもしれません。

そう。マスクです。

今は実証する機会はありませんが、
マスクをしていれば、
国境をすんなり越える事ができるはずです。
だって、
あやしい顔が隠れるわけですから。

【マスクは顔を隠すものか】

だいたい、
「あやしい顔」って誰が決めるのでしょうか。

人から「あやしい顔」と言われると、
自分でもそう思い込んで、
あやしい顔を持つ人の振る舞いになり、
さらにそれを見た人が
あやしい顔の定義を決めていく。

インターネットではそれに拍車がかかります。
「あやしい顔」を画像検索して、
みんながクリックすると、
あやしい顔の典型が形づくられ、
さらに上位表示されるようになり、
あやしい顔の定義が固定化されていくのです。

言葉の定義は、共通認識であるといえます。
同じ青色を見て、これが青色だとみんなが思ったら
それが青色なのです。

ところが、
「世界が認めたあやしい顔」
という私についた間違ったレッテルも、
マスクのおかげで、返上するときが来ました。

マスクは、顔を見て、
その人がどんな人かという言葉や
共通認識も隠すことになるでしょう。
だって、顔が見えないのですから。

【あやしい顔の出口】

私にとって、
マスクは期待しかありません。

もし、国境で止められないのなら、
マスクであやしい顔を隠せたことになります。

もし、国境で止められたとしたなら、
あやしいのは”顔”ではないという証明となります。

とはいえ、
顔以外があやしいから止められるわけで、
今度はそれが明らかになってしまうのですが。

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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