おととしから約1年かけて、住み替えをしました。
貸し出していたマンションの退出連絡を受け、
2020年10月頃、売出しをはじめました。
「すぐ売れますよ」
不動産会社の方は、自信満々です。
すぐに販売サイトに掲載され、
今日売れるか、明日売れるかと待ちました。
内見ははいるものの、なかなか売れません。
そうこうするうちに、
次に住むのに丁度いい家を発見しました。
早速、マンションが売れたつもりで、
購入の手付け金を支払いました。
そうなると、
決済の期限が決まってしまいます。
それまでにマンションを売って現金化しないと、
次に住む家の手付け金はなくなって、
買えなくなってしまいます。
こうなると、交渉事は俄然不利になります。
頼りにしていた不動産会社の方も、
内見して買いたいと言ってくださる方も、
みんなグルで、日付を延ばしながら、
値段を交渉しているような気がしてくるのです。
結局は値段もそう変わらずに、
期日も間に合って、事なきを得たのですが、
悪意のある人が関わっていれば、
窮地に陥りそうな、スリリングな体験でした。
もともと急いでいるわけではないので、
自分で自分の首を絞めてしまいました。
ここでわかったことは、
私のような取り引きの素人は、
何でもすぐに現金化ができると
勘違いしているということです。
評価額という数値を見ながら、
あたかもそれを手に入れたかのような
錯覚に陥ります。
そして、実際は現金化に時間がかかるのがわかり、
安く売り叩かれていくのだと。
不動産会社は土地建物を現金化してくれます。
銀行は企業活動そのものを、
農協や漁協は米や魚を、
メルカリは個人の資産を、
アマゾンは倉庫にある商品を、
生命保険は命を現金化します。
今も昔も、現金にするということは
私たちの強い欲求に支えられているのです。
しかし、今や取引や決済が簡素化され、
現金化へのハードルが下がってきました。
サービスのひとつに即時決済という
文字が踊るようになってきています。
現金化するだけではなく、
そのスピードも競うようになったのです。
これからは、
私のような取引素人も売り叩かれない
ような仕組みもでき上がるかもしれません。
これが当たり前になっていくと、
現金化の価値ってどうなるのでしょうか。
現金化できないものの価値が上がるのか、
そもそも決済しない世の中になるのか。
近くにそんな未来がありそうです。
とても興味深いですね。
- 著者自己紹介 -
人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。
出口にこだわるマーケター
松尾聡史