第26回 社員と社長の「適切な距離感」とは?

この対談について

大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。​​創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。

第26回 社員と社長の「適切な距離感」とは?

安田

いろいろな社長さんにお会いしていると「社員は家族同然」と思っている方も多いなと感じます。特に中小企業は会社の規模が小さい分、一層「ファミリー経営感」が強くなるような気がしていて。藤村さんにとっても社員さんたちは家族のような存在ですか?


藤村

いや、違いますね。文字通り「社長」と「社員」という関係性だと思います。

安田

へぇ、ちょっと意外ですね。でも幹部役員の方たちとはもう少し近い存在なんじゃないですか? 仕事終わりに一杯飲みに行ったりとか。


藤村

いや〜ないですね。食事にすら一緒に行かないです。ごくたまに、打ち合わせ込みの食事会をすることはありますけど。

安田

そうなんですか。ということはもしかして、社員さんと行くより私と行く方が多かったりします?


藤村

ええ。安田さんとお食事した回数の方が圧倒的に多いですよ(笑)。

安田

そうなんですか! 藤村さんって社員さんをすごく大事にされているから、てっきり「社員は家族」というタイプだと思っていました。


藤村

いやぁ、僕は社員との「距離感」はけっこう大事にしてますね。「なあなあの関係」にはなりたくないといいますか。

安田

ああ、でも確かに以前、藤村さんと社員さんのやり取りを見て、「けっこう緊張感があるな」と感じたことがありました。


藤村

そうですね。もっとも別に意図して距離感を作ったわけではなくて、自然とこうなっていたという感じなんですけど。そもそも「もっと仲良くしたいな」「距離を詰めなあかんな」というような気持ちがないというか。

安田

でも実際そっちの方がうまくいきますよね。社長と社員に一定の距離感がある方が、互いの発言に重みが出るというか。


藤村

仰るとおりだと思います。距離感があるからこそ、互いに意見をハッキリ言うことができる。友達みたいな仲良しの関係になってしまったら、ズバッと言えなくなるんやないかなと。

安田

ああ、確かにそうでしょうね。結果、会社を上手くコントロールできなくなっちゃう。


藤村

そうそう。ウチの会社の強さって、社員たちが「社長方針を必ず実行してくれること」だと思うんです。僕が「これをやるよ」と決めたことに対して「いや、でも社長…」とか「それはやれないんじゃないですか?」とかごちゃごちゃ言って来る人がいないんですよ。

安田

なるほど。「社長」と「社員」の距離感をきちっと確保しているから、指示がスムーズに実行されると。


藤村

そういうことです。ただその分、「給料を上げる」という責任は何が何でも果たそうと努力していますけどね。結局、社員を本当に支えてくれるのはお金であって、仲良しこよしの関係性じゃない。

安田

仰るとおりだと思います。一貫していて素晴らしいなぁ。


藤村

ありがとうございます(笑)。社員に対して厳しいことを言った分、僕も結果を出していかなくてはいけないですから。だからこそ、今の距離感をキッチリ守っていく必要があるんだろうなと。

安田

ふ〜む、なるほど。こうしてお話を聞いていると、「給料をたくさん払うこと」は必ずしも「社員を甘やかすこと」じゃないと感じますね。


藤村

それは全然違うと思います。だって僕、たぶん社員からも幹部からも「めっちゃ厳しい人」だと思われているはずですから(笑)。

安田

笑。社員さんたちが社長に対して「適度な緊張感」を持って仕事をしている。だからこそ、藤村さんの会社はずっと成長し続けられるんでしょうね。

 

 


対談している二人

藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役

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1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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