第326回「ブームに乗りやすく飽きやすい国民性」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第325回「飲食業界のネクストステージ」

 第326回「ブームに乗りやすく飽きやすい国民性」 


安田

スノーピークの業績が良くないみたいですね。

石塚

上場廃止になってファンドに株を渡しちゃいましたね。コロナでの一時的なブームを完全に読み違えたんでしょう。

安田

もうブームは終わったってことですか。私の周りでキャンプやってる人はまだいますけど。

石塚

もちろん好きな人はいるので。ただ予想したほどにはアウトドアのマーケットが広がらなかったということですよ。これはワークマンも同じです。過剰出店しすぎた。

安田

まだまだブームは続いてそうな気もしますけど。

石塚

たとえば安田さん、これだけのブームでしたけどキャンプやりました?

安田

やってません。興味はありますけど。

石塚

「行こうかな」ぐらいですよね。

安田

そうですね。

石塚

僕は生まれたところがアウトドアみたいな感じで。田舎出身だからなぜわざわざそんなとこ行かなきゃいけないの?って思っちゃうんです。

安田

実家にはアウトドアグッズとかあるんですか?

石塚

いえ。テントも持ってないし、そもそも興味がないです。スキーはやるけどキャンプしようなんて別に思わない。

安田

ちなみにスノーピークって石塚さんの出身地と同じ新潟の会社ですよね。

石塚

そうです。新潟の三条ってところにある会社。実はスノーピークって単価がすごく高いんですよ。

安田

そうなんですか。

石塚

テント1張20万30万で。

安田

そんなにするんですね。

石塚

そこまでのお金をかけてやる層って日本にはそんなにいないんですよ。

安田

やりようによってはファンを掴んで手堅い事業になっていきそうな気もするんですけど。

石塚

よく安田さんと話しますけど、あまり大きくしすぎないのが大事かなって思う。

安田

確かにそうですね。ファンって無理矢理増やし過ぎると一気にいなくなるので。

石塚

大変恐縮ですけど、たかがキャンプにこんな大枚はたかんよと。そんなに高額なお金は出せないって人が日本には多いんじゃないですか。

安田

確かにそうですね。ちなみにスノーピークは今後はどうなるんですか?

石塚

ファンドに売却して資金を得たので海外展開を真剣にやってるらしいです。

安田

海外では売れるんですか?

石塚

海外のアウトドア事情はそこまで詳しくないですが、もう日本には見切りをつけたってことでしょうね。

安田

なるほど。そもそもキャンプって、あまりお金を使わずに、ゆったりした時間を楽しむイメージですもんね。

石塚

そうなんですよ。だけどブームで高額な商品をたくさん作ったから。

安田

確かに。丸の内のお店にちょっと入ったことがあるんですけど。シチューを温める道具とか、折りたたみの鍋とかも万単位でした。

石塚

高いんですよ。

安田

ブームの時は売れたんですか?

石塚

男子ってまず道具から入るとこあるじゃないですか。

安田

ありますね(笑)

石塚

まず道具を全部揃えないと気が済まない。その残骸がトレジャーファクトリーとかセカンドストリートに中古で売ってますよ。

安田

なんと。もうお払い箱ですか。

石塚

これ何回使ったのかな?って(笑)まだ新しい商品がたくさんあります。

安田

私は自分で買ってまでキャンプはしませんね。グランピングには1回行きましたけどもういいです(笑)

石塚

旅館やホテルに泊まった方が快適でしょう。

安田

そうなんですよ。テントにはトイレも洗面もないし。

石塚

行って設営して、準備してっていう、あれ想像すると相当好きじゃないと続かないですよ。

安田

ほんとそう思います。

石塚

結局その層が日本にはそんなにいなかったってことですよ。

安田

一時期はキャンプ場に行っても「テントを張る場所がない」なんて言われてたのに。

石塚

日本人はすぐブームに乗るから。そして飽きるのも早い。そんなの今に始まったことじゃないんですけどね。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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