第33回 3年後に生き残る企業と淘汰される企業の違い

この対談について

大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。​​創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。

第33回 3年後に生き残る企業と淘汰される企業の違い

安田

今日は「人不足問題」について、藤村さんにお話を聞いてみたいなと。人材不足と言えば、経営者なら誰もが頭を抱える悩みの一つです。


藤村

今はもう、どこに行ってもその話になりますからね。採用コンサルをやってる会社は引っ張りだこですよ。

安田

そうですよね。ただね、本格的な労働力不足はむしろこれから始まると言われてるんです。既に人口は少なくなってるんですが、それでも主婦の方が働きに出るようになったり、定年が延びたりして、まだ労働力自体はそこまで減っていない。


藤村

ああ、なるほど。それでなんとか凌いでたけど、やがて一気に押し寄せてくるぞ、と。いやぁ、怖い話ですね。

安田

ええ、本当に。中でも「中小企業で働く人」が激減するんじゃないかというのが私の予想でして。今は日本人の7割が中小企業で働いていますけど、20~30代の若手を大企業が囲い込んだら、中小企業に行く人が残らないんじゃないかと。


藤村

うーん、確かに。採用力では大手には勝てないですからね。同じような仕事内容だったら、大手を選ぶっていう人が大半でしょう。

安田

そうそう。そうなったら、今までとは比べ物にならないくらい人不足になるわけですよ。今までのように「社員1人あたり年間いくらの利益」で考えるような事業は成り立たなくなる。


藤村

私もそう思いますね。経営者同士で集まっていても、「どんどん辞めていくのに入ってくれる人がいない」ってみな悲鳴上げてますよ。根本的に変えていかないといけないんでしょうね。

安田

「仕事はあるけど人がいない」っていう状態ですよね。それでも何とか採用して乗り切ろうとしてる経営者がまだまだ多いかもしれませんけど。


藤村

今だったらまだ、給料を上げたら採用できる可能性はあると思うんです。だけど経営者としては固定費としての人件費は増やしたくない。結果、外部のコンサルにお金を払って採用にお金をかけることになるんでしょう。

安田

つまり採用を外注するわけですよね。でも採用難易度はどんどん上がっているわけで、お金ばかりかかって採用は成功しないって世界になってくるんじゃないでしょうか。


藤村

そうですよねぇ。逆に言えば、転職する人はいい条件で移れるわけですよね。そうなったら辞める人が増えていく気もします。

安田

そうなんですよ。転職するだけで給料が上がっていく時代なので、すごい勢いで人が抜けていくと思います。特に何年も給料が上がっていない人は、既に転職を考えていると思いますよ。


藤村

経営者がそこに気づけて行動を起こせるかどうかでしょう。とにかくまずは給料を上げることが大前提で、その分の粗利をどうやって稼ぐかに全力で取り組めるかどうか。

安田

そうですね。つまり、利益を増やして給料を上げるということを本気で考えないと、中小企業はビジネスが成り立たない。


藤村

今このタイミングで判断して実行できていたら、逆にチャンスになると思うんです。でも3年後では乗り遅れてしまっている。

安田

ここからの3年間がすごく大事なわけですね。でも中小企業の多くが何もせずに3年過ごしてしまいそうですよね。


藤村

そうかもしれませんね。採用コンサルに依頼したり、採用にお金をかけることで安心してるのかもしれないですけど。

安田

うーん、なんだか力を入れるところがズレている気がします。実際、それで採用はできてるんでしょうか?


藤村

多少マシにはなってるみたいですよ。今までは辞めた人の補充もままならなかったのが、なんとか辞めた人数くらいは埋まるようになったりとか。

安田

とはいえ根本的な解決にはならないですよね。そもそも「給料を上げる」という判断ができれば、採用コンサルをお願いする必要もないでしょうし。


藤村

仰るとおりだと思いますね。ただやっぱり、チャンスでもあると思うんです。

安田

確かに、動いた会社にとってはチャンスですよね。給料を上げて、そのためにビジネスモデルを根本的に変えていこうという会社にとっては、大きな可能性がある。やっぱり儲かる仕事をして、社員が楽しく働ける会社にする以外、中小企業が生き残る道はない気がしますね。

 

 


対談している二人

藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役

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1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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