第143回 人生における「ちょうどいい負荷」とは

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第143回 人生における「ちょうどいい負荷」とは

安田

藤原さんはよく「負荷」はある程度必要と仰ってますよね。それって人生においても同じことが言えるんじゃないかと思いまして。


藤原

ほう、なるほど。面白いですね。

安田

人生も負荷が少ないと劣化していくなぁと。その一方で、負荷が大きすぎると心も体も病んでしまう。引き受けたい負荷かどうかという種類の問題もあるし、大谷翔平さんだって練習しすぎたら体を壊すわけで。


藤原

その通りですね。好きだから無限にできるかというとそうでもない。

安田

そう考えると、普通にあまり無理せず生きている状態が、実は神様が与えた最適な負荷なんじゃないかという気もするんですよ。マラソンのような運動も、体に悪いと言われることもありますし。


藤原

ああ、そうですね。私も以前はフルマラソンを走っていましたが、日常的にトレーニングしていない人が無理して42キロも走るのは、絶対に身体に良くないと感じていました。

安田

動物って種ごとにデフォルトの負荷が違いますよね。マグロは泳ぎ続けても疲れないし、ナマケモノはぶら下がっているだけ。人間にとってのデフォルトは「歩くこと」なんじゃないかと。だから筋トレをガンガンやるのはデフォルトを超えている。


藤原

それはあるかもしれませんね。おそらく本来、人間は適切な負荷を知っていて、自然に生きるだけで十分に負荷がかかるように設計されているんじゃないかとも思いますし。でもこの世界には、それをわからなくしてしまう誘惑がたくさんあるんですよ。

安田

楽な方への誘惑ですよね。


藤原

そうそう。極端な例で言えば覚醒剤がそうで。体に悪いとわかっていても、一度脳が慣れてしまうとないと気が狂ってしまう。座りっぱなしも同じ仕組みで、楽を覚えると脳が騙されてしまうんですよね。

安田

楽をさせた方が商売的にも儲かりますからね。楽することに中毒性があるというのは本当にそう思います。でも一方で、しんどい方も中毒になりますよね。昔は生きるために筋肉が必要でしたけど、現代社会では筋肉が生きる力に直接関係しないわけで。


藤原

そうなんですよね。僕もトレーナーについてやってますけど、ムキムキの人たちを見るともう中毒じゃないかと。ランナーズハイと同じで、一定のラインを超えるとやめられなくなっているように見えますよ。

安田

リミッターを超えちゃっているのかもしれませんね。それを自分の脳で判断しないといけないのが難しいところで。実は以前、私も15年間パーソナルトレーニングに通っていまして。


藤原

へぇ、15年は長いですね。

安田

ええ。最初は華奢すぎるからちょっと筋肉つけようかなという軽い気持ちだったんですけど、無理しすぎて肩や膝を痛めて辞めたんです。


藤原

ああ、負荷の上限を超えてしまったわけですね。

安田

そうなんです。でも最近、体調を崩したリハビリ目的でまた通い始めたんです。リモートワークで外に出なくなって、「歩く」という最低限の負荷すらかけていなかったことに気づいて。


藤原

安田さんとは何年もお付き合いしていますけど、楽をしているというイメージはないですよ。適切な負荷をご自身でコントロールしているという印象です。

安田

ありがとうございます。まあ、朝から会社に行っている人からしたら「ふざけるな」と思われる生活かもしれませんけどね(笑)。

藤原

それは僕も同じかもしれません(笑)。ただ経営者としては、脳に対する負荷も大事だと思っていて。特に重要なのは自分で負荷の量を決められるかどうか。社員さんは決められた時間に決められた仕事をしなきゃいけないので、外部からコントロールされてしまう。

安田

量は大したことなくても、心が拒否するようなことをやり続けて壊れるケースもありますからね。自分でコントロールできるかどうかが鍵ですよね。

藤原

そうなんですよ。負荷をかけないと劣化するということだけは忘れないようにした方がいいなと。ただ量や質は一人一人違うから、どう設計するかは生きている限り考え続けるべきことだと思います。

安田

それでいうと、「不安」のようなネガティブな感情も、神様が与えた適切な負荷なのかもしれませんね。危険を避けるために不安がある。でもそれを勝手に作り出して病むのは、種類か大きさが間違っているシグナルという気がします。

藤原

そうですね。ただ異常を検知することって結構難しいんですよね。お箸の持ち方と同じで、異常な持ち方に慣れると正しい方が「おかしい」と感じてしまう。異常な状態で異常を見抜かなきゃいけないわけですから、信頼できる人に客観的な意見をもらう方がいいのかもしれません。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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