人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第22回 優秀な人材を繫ぎ止める「内的報酬」

そうかもしれません。もちろんある程度の外的報酬が得られることは前提ですが、そこから先は内的報酬が重要になってくると思います。例えば最近は副業を認める会社も増えてきましたけど、そういう歩み寄りが必須になってくると思いますね。

優秀な人に辞めないでもらうためには、絶対に必要ですよね。ただ普通に考えると、「会社員としての年収は800万だけど、副業で1億稼げる」みたいな超優秀な人の場合、さすがに会社に所属する意味がないと言うか、それほどの内的報酬を用意できるものかなぁと。

仰るとおりです。ちなみに「副業」を前回の国家の話に当てはめるとどうなるんでしょう。2つ目、3つ目の国に所属する「副国民」のような制度は可能でしょうかね。

そうそう。大谷選手はあまりに規格外としても、日本のサラリーマンさんたちも同じだと思うんです。つまりある程度仕事ができるようになったら、給与を上げるだけで終わりにせず、「自由度」を上げていくべきなんじゃないかと。

「囲い込まない」という考え方がとても大事ですよね。先日もあるクリニックから、「頼りにしている非常勤医が辞めてしまうかもしれない」とご相談いただきまして。そういう場合、辞めないように引き留めるよりもすべきことがあるなと。

本当にその通りで。会社と働く人の間で「Win-Win」の関係を構築することが大事なんです。もっと言えば、多くの経営者は「自分だけがWin」になることを考え過ぎなんですよ。働く人にとって何がWinになるのか、しっかり考える必要がありますね。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。