人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第32回 学校教育のレールから降りて見えたもの

前回、「抽象化する能力」が欠けている人が多いというお話がありましたね。そしてそれは学校教育に起因してるんじゃないかと。

そうそう。むしろそういう人の方が多かったりしますからね。周りのやり方に馴染めず、自分で自分の道を切り開くしかなかったタイプと言うか。そういう人はある意味、教育から悪い影響を受けずにすんだ、ということなのかもしれない。

笑。もちろん、線路に乗っても降りても、どちらに進んでも成功する道はあると思うんです。徹底的にエリートになるか、完全に独自路線で行くか。でも日本人はなぜか「平均より少し上」ぐらいが好きなんですよね(笑)。

私は中学高校と、まさに平均より少し上くらいの成績だったんです。ただそれで満足するタイプじゃなくて(笑)。突き抜けてる人には敵わないし、かといってこの敷かれたレールをそのまま進んでいくのも癪で。絶対にもっと楽しい生き方があるはずだと思ったんですよ(笑)。

笑。とはいえ、現実はそう甘くないわけです(笑)。就職しようにも、そもそも全員が大学に行くのが当たり前の進学校だったので、求人なんて全然来ないわけですよ。先生もどう指導していいかわからないような感じで(笑)。

小さいときから「自分の居場所はこの国にはないな」と感じていたんです。つまりアメリカに行きたかったわけじゃなく、日本にいたくなかっただけで。だからアメリカに行って晴れやかな気分になりました。でもしばらくするとまた居心地の悪さが戻ってきて。

そうなんです。それに、アメリカって当たり前のように皆商売をしてるんですよ。大学生をやりながら自分で商売をしていたり、大学教授なのに授業が終わったら美容室を経営していたり。それを見て「稼ぐ方法って無数にあるんだな〜」と感じたわけです。

本当にそうですよね。私も起業とまではいかなくても、商売をやって生きていくということは意識していた気がします。私の父はサラリーマンを全うしたタイプなんですけど、母方の祖父が戦後にゼロから起業して建設会社を作った人で。

そうなんです。お年玉を大盤振る舞いしてくれたりして、子ども心にすごくカッコよく見えて。そこから商売人に対する憧れにつながって、学校でいい成績をとっていい企業に入らなくても「カッコいい生き方」はできるんだと理解したというか。

私も「大企業に入ってサラリーマンになる」という生き方がカッコいいとは思いませんでしたね。それより自分で商売をやってる人の方がずっとカッコいい。そう考えると、身近に商売をやってる人がいるかどうかというのは大きいかもしれませんね。

確かに、周りに会社員しかいないと、稼ぐ方法って雇われるか資格取るかしかないって思っちゃいますよね。最近、うちの息子が「自分で何かやりたいから、企業に就職することを期待してるならごめん」と妻に言ってきたらしくて。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。