人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第53回 「格差是正」の先に待つ、総貧困時代

Xで投稿をしていても、そういう反応をもらうことがありますね。

仰るとおりですね。しかも日本で語られる格差って、たとえばヨーロッパの昔の身分制度とか、インドのカーストみたいな話とは別じゃないですか。本人がどうあがいても逃れられないような格差ではないというか。

そうですよね。政治家の地盤を継ぐ二世議員とか、親が金持ちだとか、そういうアドバンテージはあっても、別に身分制度みたいなもので規定されているわけじゃない。たとえそういう有利な条件がなくても、本人の努力次第で政治家やお金持ちにはなれるわけで。

わかります。しかもいま日本で言われるお金持ちって、別に年収◯億みたいな話じゃないでしょう? 「年収1000万円以上」くらいのものじゃないですか。それくらいならゼロからでも十分に手が届く可能性がある。多くの人がそれに向けてまじめに努力すれば、全体の豊かさは底上げできるはずなんですよね。

そうそう。でも先ほどの北朝鮮の話同様、お金持ちからさらに税金を取って全国民に分配したところで、一人頭で考えたら大した金額にならないんですよね。例えば1億円以上稼いでる人は、そもそも収入の7割近くを税金や社会保険料で取られているわけで、その「残り」を全国民に配ってもタカが知れている。

確かに日本全体にストレスが充満してきてる感じですよね。でも一方で、年1000万円以上稼ぐ人はたくさんいるわけですよ。彼らだって自分たちと同じ制度の中でやっているわけで、決して上に行くことが無理なわけじゃないんです。でもなぜかその事実には目を塞いでしまう。

確かに。それで思い出したんですが、中国って社会主義じゃないですか。でも中国人の国民性としては、平等よりも競争が好きらしいんです。放っておくとガンガンに競争し始めてしまうから、その国民性を社会主義で抑えているんですって。

なるほど、おもしろい話ですね。そう考えると日本はきれいに真逆ですよね。平等が大好きで競争が苦手なんだけど、資本主義っていう。

確かに、言われたことをきちんと遂行することに長けている人が多いですからね。外資が入るとアレルギー反応を起こす人もいますけど、むしろその傘下に入って言われた通りにやる方が労働者の給料は増えるのかもしれない(笑)。

そうですね。ただ問題の根本は、心のどこかで豊かになることに自分でブレーキをかけている人が多いことですよ。それがあるから他人の成功も許せなくなっていく。「出る杭を打つ」みたいに上から押さえつけられているような言い方をされますけど、実際は下から皆が引っ張っているのかもしれませんよ。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。