第61回 ようこそ「地球ランド」へ。

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第61回 ようこそ「地球ランド」へ。

安田

私、人間は「肉体という乗り物」に乗った旅人なんじゃないかと思うことがあるんですよ。その旅の途中で、今たまたま「地球ランド」という、ある種テーマパークのような場所に遊びに来ている。


藤原

ほう、なるほど。面白い話ですね。つまり私たちは長い旅の途中で、今たまたま地球にいるだけだと。

安田

そういうことです。それで、「地球ランド」にはさまざまなアトラクションがあるんですが、一番刺激的で面白いのが「人間ランド」、いわゆる「人間社会」なんです。


藤原

ははぁ、なるほど(笑)。つまり我々が生きているこの毎日は、遊園地で言えばジェットコースターやお化け屋敷みたいなものなんですね。

安田

そうそう。まぁ普通のアトラクションに比べて、「人間ランド」はちょっとリアルすぎるんですけど(笑)。そして数分で終わるジェットコースターと違って、かな〜り長い。


藤原

そうですよねぇ。百年近くあるわけですから(笑)。しかもお金持ちになったり貧乏になったり、本当にいろんなことが起こる。

安田

そうなんです。でも、それも全部アトラクションの演出なんです。お金儲けも権力争いも全部「遊び」。つまり「お金儲け遊び」「権力獲得遊び」なんだと。…そんな風に捉えられれば、皆あまり悩まずにすむんじゃないかと思っていて。


藤原

いやぁ、面白いですね。確かにそう思えたら、自分の人生を少し俯瞰して見られるような気がします。とはいえ、なかなか簡単にはいかなそうですけど。

安田

そうなんです。皆さん「人間ランド」にのめり込みすぎてしまっているんですよ。リアル過ぎて本物だと思い込んでいる(笑)。


藤原

うーん、なるほど(笑)。確かにお化け屋敷の中の世界が現実だったら、怖くて進めないですもんね。

安田

そうでしょう? あれは「アトラクションだ」とわかっているから、楽しみつつ前に進めるわけですよ。それと同じように、目の前の出来事から適度に距離をおいて楽しむ姿勢が必要なんじゃないかと。


藤原

なるほどなぁ。でも実際「目の前の事象にのめり込み過ぎない」というのは大事ですよね。何か問題が起こった時も、のめり込み過ぎるといい解決策は出てこないし。

安田

そうそう。でも、本人はのめり込んでいる意識はないから、気付くのは思いのほか難しいんですよね。例えば子どもの頃って、学校が人生のすべてのように感じるじゃないですか。でも実際はまったくそうではなく、世界はもっとずっと広い。大人になったら簡単にわかるんですけど。


藤原

そうですね。まぁ大人は大人で、「人からどう見られるか」「社会でどう評価されるか」という別の枠で縛られていたりしますけど。でもそれだって、ちょっと違う会社に移ったら、常識が全然違っていたりして。

安田

つまり結局はゲームみたいなものなんですよ。例えば人生ゲームで遊んでいると、「罰金を払う」とか「牢屋に入れられる」なんてマスに止まったりする。でもそれを本気にする人はいないじゃないですか。


藤原

むしろそれがあるから楽しい部分とも言えますよね。

安田

そうなんです。でもなぜか「人間ランド」に関しては、当たり前に本気で怒ったり不安がったり逃げ出したりする。場合によっては誰かを恨んだりね。このゲームにだけ、皆さん異様に本気なんですよ。


藤原

わかる気がします。学校でも会社でも家庭でも、のめり込み過ぎると、すべてが深刻になってしまう。だから時には冷静に、一歩引いて見ることが大事なんでしょうね。かといって冷静すぎると、「なんでそんなに冷めてるんだ?」なんて言われてしまったり(笑)。

安田

その塩梅が重要ですよね。せっかくディズニーランドに行っても、「どうせ着ぐるみだろ」なんて思っていたら、全然楽しくないわけですから(笑)。


藤原

「ミッキーだ!」と喜ぶ気持ちも持ちつつ、心のどこかで「でもこれは遊びなんだ」という部分も残しておくと。

安田

ええ、まさに。「学校で友達と盛り上がる」「ビジネスで本気になる」そういったことはとても大事だと思うんです。でも「所詮は遊び」という感覚がないと、人はどこかで心のバランスを崩してしまう気がして。


藤原

ふーむ、なるほど。逆に言うとその感覚さえあれば、どんなことが起こっても冷静に対応できるようになるのかもしれませんね。

安田

私もそう思います。まぁ、言うは易しで、実際にやろうとするとすごく難しいわけですけどね。だから時々「人間ランド」から出て、もっと広い「地球ランド」の空気を吸うことが大切だと思っていて。


藤原

人間ランドから退場するわけですね。

安田

そうそう。ちなみに私は毎朝起きたら、「人間ランドの空気を吐き出して、地球ランドの空気を吸う」というイメージで深呼吸してるんです。そうすると、すごく爽快な気分になる。


藤原

なるほど~。面白いなぁ。世界は本当はもっと広いのに、つい狭い範囲で考えてしまいがちですからね。意識を広げることで、もっと豊かさを感じられるかもしれない。

安田

そうなんですよ。人間社会って、生きていく上ですごく大事ですけど、全てではないですから。


藤原

確かになぁ。それに気づけると、より幸福度も増す気がします。でもこれを読んで、怪しさを感じてしまう人もいるかもしれませんね。

安田

それこそが、まさに「人間ランドにどっぷりハマっている」ということなのかもしれませんよ(笑)。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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