人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第68回 人生の豊かさは「利他」の中にある

藤原さんもよくメルマガに書いてますけど、人って「自分のため」だとそんなに力が出ないんですよね。自分だけがお金持ちになろうとか思ってるうちは、そんなに成功しないというか。

私最近、子どもの弁当作りを手伝ったりするんです。この年になるとそういうのも楽しくて。だけどそれが自分が食べる弁当だったら、そこまで頑張ってやってないだろうなと思うんですよ。「人のため」だからこそすごく頑張れるというか。

同感です。仮に料理がすごく得意な人でも、自分だけのためだったらそこまで気合を入れて作りませんもんね。でも誰かのためとなるとこだわった美味しい料理を振る舞いたくなる。「利他の力」って確実に存在すると思いますよ。

そうそう。多くの成功者が晩年利他的になっていくのも、その方が自分の人生が豊かになることに気づくからだと思うんです。「そうあるべき」だからやっているというよりは、その方がお得だっていうことで変えていくんだろうと。

そうそう。ES(従業員満足度)を高めていくための重要な要素として、私が「内的報酬」を挙げているのもそういう理由で。収入などの外的報酬はもちろん必要ですけど、内的報酬を与え合えるような組織こそ、これから成長していくんだろうと思います。

「子どもを作ったら損だ」「お金も時間も全部自分のために使いたい」みたいに言う人もいますしね。でもそれを突き詰めていくと、やがては自分という存在が危うくなるんですよ。そもそも親がそういう考え方だったら、自分は生まれてないわけで。

そうそう。もちろん利己的になっちゃう気持ちもわかるんですけどね。ただ先ほど出たように、利己的でいることこそ「損」なんですよ。短期的な利益は手に入るかもしれないけど、利他的である人が一生で手に入れる利益に比べたら些細なもので。

そうなんですよねぇ。そもそも我々が存在してるのも、先祖から命がつながってるからで、「自分も次世代にバトンを渡したい」って思うのは自然だと思うんです。逆に言えば、その感覚がないと、死んでしまうのがひたすら怖くなるじゃないですか。

そうそう。それは仕事においても同じなんだと思うんです。ソフトバンクの孫さんも「300年間成長し続ける構造を発明した」と思われたいと言っていて。やっぱり人間は次世代のために役立つ自分でありたいと願う生き物なんでしょうね。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。