人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第98回 時間を溶かす「空白」と、価値を生む「余白」

藤原さんのメルマガに「忙しさを誇る人は多いけど、余裕を誇る人はあんまりいない」と書かれていて、本当にそうだなと。「本当に価値のある仕事は、時間を埋めることじゃない」と、最近よく仰ってますよね。

ええ。秘書がいて、分刻みのスケジュールをこなしている。自分の予定すら秘書に聞かないとわからない、みたいな社長を見て、「なんだかかっこいいな」と思っていました(笑)。でもある時「いや、それは違うだろう」と気付きまして。

いやいや、私もそれくらいまでは「忙しい=かっこいい」と思ってましたよ。より正確に言えば、「忙しくしていないと社長として格好悪いんじゃないか」と思っていた。スケジュールが埋まっていない社長はサボっているように見えるんじゃないか、ダメなやつだと思われるんじゃないかって。

そうなんですよね。さらにいうと、物理的な時間の余白以上に、「心の余白」が重要だなと。例えば、誰かからお誘いをいただいた時に「喜んで」と二つ返事で言えるかどうか。物理的にも心的にも「余白」がないと、即答できないだろうなと。

そうですよね。私は39歳の時にスペインに一人旅をしたのが最後の海外なんですが、10代で初めてアメリカに行った時ほど感動できなかったんですよ。今思えば、あれも自分の「余白」がすり減っていたということなんだろうなと。

確かに! 余白どころか、むしろ情報過多と言うか、必要のない情報で頭がパンパンになってしまう感じですよね。江戸時代は、町人も能楽や和歌を楽しんでいたと聞いたことがありますけど、そういう優雅な感じとは全然違う印象を受けます。

そうなんですよ。今おっしゃった和歌や俳句なんて、まさに「余白」の娯楽ですもんねぇ。道端の草の芽吹きや季節が変わる風の微かな流れが歌われているわけで。余白のない人に無理やり俳句を詠んでもらっても、面白いものは出てこないでしょう。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。


















