その107 5分

わたくしの職場で一緒に仕事をしている方で、
派遣の事務員さんがいます。
定型業務と個別にお願いしたことをやっていただく形ですが、
もう年単位働いていることもあって、業務は非常にスムーズです。
スムーズすぎて、残業もほとんどなく、いまとなっては正直、
ご本人にはけっこう余裕があるのだとも思います。

わたくしは、それで良いのだと思っています。
まじめで信用できることは前提ですが、それはよくわかっていますし、
ひとは余裕があってこそ自発的に仕事の品質を担保できるのだと
個人的には考えています。

ただ、まれに残業になる場合、10分であっても5分であっても
それは当然タイムカードに刻まれています。
これを「5分くらい付けなくてもいいではないか」などといったら
えらいことになってしまいます。

法的には、5分どころか1分単位で残業発生は認められるものと
聞いたことがありますし、今となっては古い形かもしれませんが、
派遣さんと正社員の違いが顕著に現れる点のひとつが
このような「時間の概念」であることもたしかなのです。

自分が実際に賃金を出す身分でないことを抜きにしても、
「5分くらいで残業にしなくてもいいじゃないか」
と、本当に思っているわけではないのですが、
正直モヤっとしたものがないわけではないことは、告白しなくてはなりません。

先に申し上げた通り
その方の業務時間中は比較的余裕があることが多く、
残業が5分発生した場合などは
その日が朝から夕方までひたすらに忙しい、ということまずぼなく、
終わりの方になってたまたま他所の都合でバタバタした結果ということがほとんどです。
日中、それまでに発生した時間的、労務的な余裕は
すでにどこかに消えてしまったわけですが、
一日の結果としてはイレギュラーなコストが発生してしまったわけです。

これをどう解釈するべきなのか、しばらく考えてみましたが、
結論を申し上げますと
どうやら自分に思いこみがあり、それが間違っていたというほか、ありませんでした。

自分の思いこみというのは、
「派遣さんに依頼しているのは、成果物をつくることだ」
ということです。

成果物をたのんでいるので、
余裕を持てるようにすれば品質も良くなるであろうと思っていたわけです。
しかしもちろん、相手からしたら賃金は時間に比例するものですし、
いってみれば時間を売っているにすぎません。
なんなら、たのまれることが少なければ、ラクで良い、
それだけのことかもしれません。

……まあ、そこまでは思われてはいないと……思いたいですが……

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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