Business News Daily紙が選ぶ「2018年版 きっとうまくいくsmall business トップ12」を紐解いてみる
著者:小出 紘道
本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。
はじめに
この企画の初回に選んだメディアは、アメリカのBUSINESS NEWS DAILYというwebメディアです。アントレプレナーや中小企業オーナーに、次のビジネスのタネを紹介していくことをミッションステートメントとして作られています。アメリカの中小企業経営者や企画担当者は結構読んでます。なお、知人のイギリス人経営者も読んでました。
以下、彼らのミッションステートメントの原文です。
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Mission Statement
To provide the ideas, inspiration and solutions needed to help entrepreneurs and small business decision makers succeed.
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起業や中小企業経営の、アイデアと、インスピレーションと、ソリューションを提供する!って書いてありますね。
このBUSINESS NEWS DAILYからピックアップしたコラムが、「12 Business Ideas Poised For Success 2018」です。2018年、成功するビジネスアイデアトップ12の発表ということですね。
[https://www.businessnewsdaily.com/1999-great-business-ideas-2012.html]
そういうわけで、今日から4回にわたって、全12個のビジネスアイデアをレビューしてみたいと思います。1回に3つのアイデアをレビューし、毎回その中で1つを掘り下げていきましょう。
12位 Microbreweries:クラフトビール醸造所
クラフトビールを作りましょう!とのことです。なお、私、ビール飲めないのでクラフトビールって名前は、よく聞くけど具体的なことは知りませんでした。二度とない機会かもしれないのでググりました。「小規模」かつ「独立系」で「伝統製法」の醸造所で作られたビールのこと、でした。
地ビールと何が違うのか?も調べたら、クラフトビールの中でローカルブランドのビールのことを地ビールというようです。ですので、ほぼ同じ。
11位 Instagram consulting :インスタのコンサル
出ました!インスタ。インスタ派生ビジネスですね。
Instagram consultingで英語検索して、中身をちょっと掘ってみました。分かったことは次の5つです。
①多くは個人事業者である
②個人事業者が自身のインスタで「インスタのコンサルやりますよ」と宣伝していることが多く、いわゆる従来型のHPを持たずに集客している
③コンサルの半分は、「いいね!がもらえるインスタの作り方」である
④コンサルの残りの半分は、「あなたのビジネスにインスタをどう活用するか」である
⑤Instagram ConsultingとInstagram Mannagementの2領域のビジネスが存在し、後者はInstagram Optimization(インスタ最適化=フォロワーやいいねを分析し、いつ、どんなpostをすると効果的に反応があるのか?などを提案する)と、Likes Buying(いいねの販売業者)に分かれるようです。ちなみに私、インスタやってません、、、、。
10位 Box subscription services :サブスクリプションBOX
今日はこれに注目したいと思います。
Subscriptionは、サブスクリプションと読み、「毎月一定額の料金を支払うことで、オススメ商品が届く定期購入型の販売モデルのこと」です。「一定期間レンタル」と「購入」の2つのビジネスモデルがあります。化粧品、お酒、洋服、バッグなど、それぞれのサイトや提供者がセレクトした一定金額相当の商品が毎月手元に届くことになります。
日本でもいくつかのサブスクリプション系サービスサイトが立ち上がっています。調べてみるとこんな特徴がありました
①レンタル型のファッション系サイトが多い(今月は、これ着てみてね!)→単なる洋服レンタルサイトとも言えます。
②サンプル提供型の広告ビジネスも多い(このサンプル使って感想教えてね!)
③購入型はコスメボックスがほとんど(今月セレクトしたのはこのコスメです!)
日本での一例
[https://www.air-closet.com]
[https://www.cosme.net/bloombox/?route=cms/page/about]
さて、アメリカではどうでしょうか?
調べた結果、サブスクリプションBOXのサービスがそもそも桁違いに多い!
Subscription Boxで検索すると、少なくとも次のことが明確に分かります。
①2017→2018にかけて、様々なサービスが乱立し、マーケットが急拡大している
②For Women/ For Men/ For Kids など、デモグラフィック(属性)で顧客がセグメンテーション(細分化)されている
③Food(食)/ Beauty(美容)/ Drink(飲料)/ Fitness(健康)/ Clothing(衣類)/Home(部屋)など、モノがカテゴライズされている。そのカテゴリの中に、例えば「衣類」であれば、バッグ、靴下、靴、帽子などがサブカテゴライズされています
④レンタル型はほとんど見られず、購入型を前提としている
⑤ポータルサイトやランキングサイトまで存在する
少なくとも2017、2018のEC(ネット通販)でサブスクリプションBOXの業界確立が進んでいる様子が一目瞭然です。2018に購入すべきサブスクリプションBOXのTOP10みたいな記事が本当にたくさんあります。中には、1月のベストBOXはこれだ!みたいに、月毎やシーズン毎にランキングされているものもあります。
ポータルサイトの一例
[http://boxes.mysubscriptionaddiction.com]
[https://www.cratejoy.com/category/subscription-boxes-for-women/]
ランキングサイトの一例
[http://urbantastebud.com/cheap-subscription-boxes/]
[http://www.instyle.com/lifestyle/food-drink/best-food-subscription-boxes-gifts]
一般的に、アメリカでうまくいっているビジネスモデルがあって、それが日本で未だ成長市場になっていない場合、基本的なビジネス展開セオリーは
「アメリカの展開をそのままパクる」です。この場合、「購買型」にすることと、「衣類」「飲料」という大雑把なくくりではなく、「バッグ」「小物」「靴」などのサブカテゴリをサブスクリプションの基本とすることだと思います。大きなカテゴリ(衣類、飲料など)をサブスクリプション対象とするのではなく、ということです。
ちなみに「アメリカの展開をそのままパクる」という方式は日本でうまくいかないことがあります。「国民性に合わない」という例のアレです。マーケティングの現場でもクライアントにこれを言われることが本当に多いです。実際は、商品やビジネスモデルの「革新性」に最初少し戸惑うだけで、その「革新性」が普及してスタンダードになってから後で振り返ると、「日本人とかアメリカ人とか、人種に関係なく、このサービスは便利だったってことだね」となることがほとんどですけど、日本ではこうした初期抵抗(参入障壁)が大きいですね。
自分で商品を選びたい、とか、気に入らないものが来たらどうしよう、とか、日常使う商品にサプライズはいらない、などの理由が多いと思います。顧客側の不安にあらかじめ応えようとすると、「返品可能にする」とか、「交換可能にする」とか、「ある程度自分で選べるようにする」みたいなサービスになってしまって、エッジが効かない中途半端なサービスになってしまうかもしれません。
別の視点から考えます。どうやら我々日本人の間でも、「モノ」から「コト」へという、いわゆるコト消費シフトは随分浸透してきましたので、「アメリカの展開をそのままパクる」方式の代替案として、「モノ」ではなく「コト」のサブスクリプションBOXを考えてみる、のはどうでしょうか?
体験型サブスクリプションBOXと呼びましょう。どんなサービスが考えられるでしょうか?
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