【vol.170】コロナ後のNext Normal(ニューノーマル)~Just in Case~

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


引き続き、McKinsey(マッキンゼー)が年初に寄稿した記事から、コロナ後のNext Normal(ニューノーマル)を考えたいと思います。

今週の記事はこれ

The next normal arrives: Trends that will define 2021—and beyond
(ニューノーマルがやって来る:2021年とそれ以降の世界を決定づけるトレンドとは?)

https://www.mckinsey.com/featured-insights/leadership/the-next-normal-arrives-trends-that-will-define-2021-and-beyond

2021年以降のニューノーマルを定義づけるいくつかのトレンドがリストアップされています。

先にリストを提示しておきます。

・The return of confidence unleashes a consumer rebound
・Leisure travel bounces back but business travel lags
・The crisis sparks a wave of innovation and launches a generation of entrepreneurs
・Digitally enabled productivity gains accelerate the Fourth Industrial Revolution
・Pandemic-induced changes in shopping behavior forever alter consumer businesses
・Supply chains rebalance and shift
・The future of work arrives ahead of schedule
・The biopharma revolution takes hold
・Portfolio restructuring accelerates
・Green, with a touch of brown, is the color of recovery
・Healthcare systems take stock—and make changes
・The hangovers begin as governments tackle rising debt
・Stakeholder capitalism comes of age

先週の続きを見ていきます。

・Supply chains rebalance and shift
(サプライチェーンの再調整と変化)

Think of it as “just in time plus.” The “plus” stands for “just in case,” meaning more sophisticated risk management. The COVID-19 pandemic revealed vulnerabilities in the long, complicated supply chains of many companies. When a single country or even a single factory went dark, the lack of critical components shut down production.

いわゆる「Just in Time」に概念追加が起きていると捉えると良い。「Plus」が意味するのは「Just in Case」である。
COVID-19のパンデミックによって、多くの国で、長くて複雑なサプライチェーンが脆弱であることが明らかになった。
たった一つの国や工場が稼働しなくなっただけで、製造工程で必須の部品が滞ってしまう

これまでは「Just in Time」で必要な時に必要なだけ必要な国や工場から部品調達することが「効率的で望ましい(そして美しい)」とされていたわけですが、今回のパンデミックによって、そうした「美しい」製造工程は実は「脆弱」であった、という不都合な真実が明るみにででしまった。ということですね。

なので今後は「Just in Time」に何かを「Plus」することが必要で、その何か、とは「Just in Case」という戦略である、という主張です。

念の為下記に2つの表現の意味をメモしておきます。

・Just in Time (ジャスト・イン・タイム)= 「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」供給するための生産/供給管理(トヨタ方式)

・Just in Case(ジャスト・イン・ケース)= 「万が一に備えた」体制や戦略・戦術

Disruptions aren’t unusual. Any given company can expect a shutdown lasting a month or so every 3.7 years. Such shocks, then, are far from shocking: they are predictable features of doing business that need to be managed like any other.

Disruption(崩壊)は、非日常ではない。企業は3.7年に一度は1か月のシャットダウン(機能不全)に陥る可能性がある(←研究によると)。このシャットダウンのショックは、全然ショッキングなことではない(普通のことだ)。これらのショックはもはやビジネスにおいてpredictable(予測可能)な一つの側面であり、だから他の要素とともに「マネジメント」されるべきものだ

研究によると、ある企業が「万が一」のシャットダウン(大トラブル)に遭遇する確率って「3.7年に一回」だから、もはやそれは「万が一」ではなくて「日常」として織り込んでしまった方がいいよね、という主張ですね。

「100年に1回の危機」は「だいたい10年に1回以上訪れる」という法則に似てますね笑
「10年に1人の逸材」が3年に1人は誕生してしまう件、も同じです。
もはやそれって「日常」だから「例外ではない」と。
「例外ではない」のでマネジメントを効かせるべきだ、と。

で、そのマネジメントのことを「Just in Case」マネジメントと呼んでいて、これこそが従来の「Just in Time」に「Plus」すべき要素だということです。

Just in Case(ジャスト・イン・ケース)を私達のビジネスに置き換えると
万が一「首都直下地震」が起きたり「富士山が噴火」して、首都機能が麻痺したときに『それでも持続可能なビジネスの模索』をしておく
などが該当するでしょう。
3.7年に1回、起きないことを望みます。。

Just in Case(ジャスト・イン・ケース)を私達個人に置き換えると
万が一「これまで通りの生活水準で、日本国内で生活出来ない日」がやって来たり、「日本円の価値や日経平均や日本国債価格が大暴落」してしまったりしたときのために『国外拠点や外貨でも生活できる』ように準備しておく、もしくは暴落時に『金融資産をリスクヘッジ』できるような金融商品(オプション)を買っておく
などが該当しそうですね。
3.7年ですか、、、「国債価格の大暴落」くらいであれば、起きてしまうかもですね。。。
日本国債のプットオプション、買っておこうかな(笑) Just in Caseで。

 

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「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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