【vol.200】HR領域の2022年のトレンド「予期しない形のNew Work」

GlobalPicks 〜海外の情報を読み解いて、ビジネスに付加価値を投薬する方法〜 著者:小出 紘道


2022年最初のテーマとして「HR領域の2022年のトレンド」を取り上げたいと思います。
シンガポールと香港で有名らしいHRのサイトから引っ張ってきました。

今回の記事はコレ

HR in 2022: 7 key trends that will affect employee experience (and how to address them)
従業員エクスペリエンスに影響を与える7つのキートレンド(2022年のHR)
https://www.humanresourcesonline.net/hr-in-2022-7-key-trends-that-will-affect-employee-experience-and-how-to-address-them

7つのトレンドは下記の通りです。先に提示しておきますね。

Trend #1: ‘New Work’ will manifest in new and unexpected ways
Trend #2: The talent war is quickly becoming a ‘zero-sum’ game
Trend #3: Employee mental health and resilience will propel growth
Trend #4: HR will become decentralised, spurring new management skills
Trend #5: Diversity & inclusion will be a major competitive differentiator
Trend #6: People analytics will fuel buy-in for HR policies and change
Trend #7: New productivity KPIs will be needed to assess employee performance

今週は、最初のトレンドを読み込んでいきます。

Trend #1: ‘New Work’ will manifest in new and unexpected ways
「新しい仕事」が予期しない形で現れる

A recent Gartner survey found that 75% of leadership believe that they run a culture of flexibility, but only 57% of employees agreed. The same percentage of leadership also felt that they incorporate employee voice in decision making, while 47% of employees agreed.

直近のGartner社の調査では、リーダー層の75%は「自社はフレキシブル/柔軟な企業風土だと信じ」ているが、従業員層は57%しか、そう思っていない。
またリーダー層の75%は「自分たちは従業員の声を取り入れている」と考えるが、従業員層は47%しか同意していない。

下記に続きます。

There is, evidently, a disconnect between HR policies or the leadership strategies propelling them, and employee sentiment on the ground

明らかに、上位層のHR施策やリーダーシップ戦略と、現場の従業員のsentiment(感情)との間に断絶があります。

この断絶が、冒頭の「予期しない形のNew Work」として襲いかかってくるよ、という意味でしょうか。

リーダー層と従業員層のGapを数値化していて面白いですね。
リーダー層は「自分たちの施策の半分ちょっとしか、従業員には届いていない」と思った方がいいよ、という感じですね。

上記のGardner 社のレポートでは、これらの「マネジメント⇄現場」Gapに対応する施策として、下記の3つが挙げられています。

1. Develop a two-way communications strategy:
「双方向コミュニーション」戦略を策定する

2. Deploy continuous listening:
継続的な「リスニング」を実行する

3. Enable more frequent check-ins between employees and managers:
従業員とマネジャー間で頻繁に「チェックイン」を出来るようにする

感想としては「一見普通」のことに見えたので、わざわざ大袈裟にレポートにして発表するほどのことか?と思ってしまいました。
でも、よくよく考えてみると、コロナ禍でリモートワーク/WFHが広がって、対面コミュニケーションが激減しているので、敢えて「社員とコミュニケーションを取ることを戦略」に落とし込む必要があるのだ、と読み取りました。
なので、「部下の話を聞く」ことも「リスニング戦略」ですし、部下と軽い面談をすることも「チェックイン戦略」というように、立派な「戦略」と言える時代になった訳ですね。

こうした「戦略としてのコミュニケーション」を日常のマネジメントルーティンに落とし込んでおかないと、冒頭の数字(=リーダー層が思っていることは、半分ちょっとしか従業員層に共感得られてない)のような現象が至るところで表出する、ということでしょう。

ちょっとした部下との会話が「戦略」になる時代がやってきました(笑)
※笑い事じゃなかったらごめんなさい。。。

 

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「本コラムと、本業ビジネスとの関係」(著者・小出紘道より)

本業ビジネスでは「マーケティング&戦略コンサル」の仕事と、「高付加価値情報提供サービス」の仕事をしています。本コラムは後者の「高付加価値情報提供サービス」の初級編としての入り口となればいいな、と思ってます。世界の誰かが”既にかなり研究したり、結論を出している”にも関わらず”日本では流通していない数値情報や文字情報”がたくさんあります。それらの情報を、日本のマーケットにフィットするように編集・分析すれば「競合他社」や「競合他者」を出し抜ける可能性が高まります。法人向けのサービスとなっていますので、詳細はFace to Faceでお伝えしますね。

著者情報


小出紘道 (HIROMICHI KOIDE)
◆株式会社シタシオン ストラテジックパートナーズ 代表取締役社長 http://citation-sp.co.jp
◆株式会社シタシオンジャパン 取締役会長 http://www.citation.co.jp
◆株式会社 イー・ファルコン 取締役 http://www.e-falcon.co.jp
<いわゆる経歴>
・2000年 株式会社東京個別指導学院に新卒で入社して、11ヶ月だけ働いてみた(→早めに飽きた) ・2001年 イギリスに行って、University of Londonで経済と国際関係を学んだり、Heriot-Watt Universityで経営学(MBA)をやってみた(→めちゃくちゃ勉強した)。この間に、イギリス人の友人とロンドンで会社を作ってみた(→イマイチだった) ・2003年 シタシオンジャパン社でマーケティングをやり始めてみた(→ろくにエクセルも使えなかった) ・2007年 シタシオンジャパン社の代表取締役社長になって経営をやってみた(→やってみてよかった) ・2018年 シタシオンジャパン社の社長を仲間に託し、引き続き会長としてコミットしつつも、シタシオンストラテジックパートナーズ社を設立してみた(→今ここ)
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