香料を扱う会社の
ブランドサイトのネーミングに
『プルースト』という名前を
提案したことがある
プルーストとはフランスの小説家
マルセル・プルーストのことなのであるが
このネーミングが面白いと思ったのは
プルースト作の長編小説
『失われた時を求めて』の
一場面から生まれた
次のようなエピソードを知ったからだ
~語り手である主人公が
紅茶にひたしたマドレーヌの匂いを
きっかけに幼少時を思い出す場面
ここから特定の香りを嗅ぐことで
その香りに結びついている記憶が
呼び起こされる現象が
プルースト効果と呼ばれるようになる~
このようにネーミングの背景に
物語が感じられると商品やブランドは
人格を帯びたものとして身近になり
誰かに伝えたいものになる
創業者フィル・ナイトの夢に登場し、
その名を告げた勝利の女神ニーケーの
伝説で知られるNikeをはじめ
Apple、Google、Amazon、Starbucksなど
米国の企業は自社のブランドに
誰もが共感できる物語を
まとわせるのが実に巧みだ
強いブランドは
物語という翼に乗って
世界に広まっていくのだ