日曜日には、ネーミングを掘る ♯130「ワカルクさん」

今週は。

仕事でお付き合いのある女性が
所属する会社から独立することになり、
社名開発のお手伝いをさせていただいた。

彼女が思い描いている社会の姿は、
就職し、結婚、3人の子どもを育てながら
キャリアを積み重ねている
自身の経験を踏まえたもので、
彼女の言葉を借りるなら、

「働く、暮らす、学ぶ、遊ぶを
もっと自由にデザインできる社会」

ということになる。

彼女は、生活や人生を構成する
上記の4つの大きな要素のなかで、
起点となるのは「働く」であると考えている。

そのために
「働くことに夢中になれるような環境をつくる」
ことをミッションにあげ、
新会社はまず企業内における様々な業務の
代行業からスタートする。

数度のミーティングで
彼女がめざすところをお聞きして、
『ワカルク』という社名を提案させていただいた。

働くにかかわる会社はごまんとあるので、
これはと思う案でも検索すると引っ掛かって
(すでに同じ社名で登録がある)しまう。

昨今のネーミング開発の難しいところであるが、
言葉をひっ散らかして、煮詰まったあと、
一度肩の力を抜くと、思考にすき間ができ、
風が吹くように
“それ”がやってくるケースが多い。

❶彼女がつくりたい会社を一言でいうなら?

❷働くことを、明るくする会社。

❸ワークを、あかるく。

❹ワーくを、あカルク。

❺ワカルク

というプロセスなのだが、❷が出た段階で、
あとはスッという流れであった。

ほかの候補案と併せて
プレゼンをさせていただいた際、
彼女の選択理由のひとつが興味深かった。

「クライアントと仕事をするとき、
私たちって、きっとリクルートさんとか、
テンプさんみたいに、社名で
呼ばれることが多くなると思うんですよね。
そんなシーンをイメージすると、
ワカルクって、なんだかいいです。
働くを明るくするワカルクさん。」

と、こんなふうに仰ってくれ、
提供するサービス名にも
WAKARUKUとして採用いただくことになった。

日本には企業を“さん付け”で呼ぶ文化がある。

英語のCORPORATIONを
「法人」と訳したときから、
企業という存在は人格を伴うもの。
翻訳者はきっとそう考えたのだろう。

企業名をネーミングする際、
出来上がった案に“さん”を付けてみる。

新しい気づきをいただいた案件であった。

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