♯170「50年倶楽部」~ブランドファーマーズ・スクール第一期生より~

今週は!

以前、このブログでも紹介した小さなビジネス開業スクール。4月に開校し、いまも回を重ねているが、先週でボクが担当する回がなんとか終了し、第一期生10名のビジネスネーミングが決まった。これから10週にわたって、お一人ずつ紹介していきたいと思う。

ちなみに一期生のプロフィールであるが、年齢は18歳から53歳。職業も経営者から大手企業のビジネスマン、フリーターまでと幅広く、同質化とは真逆の集まりとなった。スクールのプログラムも目先の儲けでなく、これまでの人生をゆっくりと振り返りながら、月日のなんやかやの襞に埋もれていた想いを掘り起こし、ライフとワークと重ね合わせることに軸足を置いている。そんなこともあって、一人ひとりから生まれたビジネスもまたユニークなものとなった。

さて、トップバッターとしてご紹介するのは、藤原裕士さん(53歳)。岡山県で、残土処理業等を行う株式会社フジクラを経営している。残土(ざんど)とは、建築工事や土木工事において建設副産物として発生する土のこと。これらを処理するには広大な場所が必要となるわけであるが、藤原さんは50年先まで受け入れが可能なように約150万㎡もの山を購入。美観や自然環境にも目を配りながら長期的な経営を行っている。

中小企業の経営者として、ほんとに稀有な方なのであるが、じつは藤原さんにはもう一つの顔がある。自他?ともに認めるお好み焼き研究家なのだ。自宅には特注の鉄板を揃え、「あの店は美味しい」と聞けばどこへでも足を運び、カウンター席に陣取り、お店の仕事ぶりを眼察しては、自宅で再現する入れ込みようである。

藤原さんの小さなビジネスは、ご自身の経営スタイルとお好み焼きの間に共通項を見出し、それをかたちにしたものとなった。ネーミング、タグライン(コンセプト文を凝縮しコンパクトに表現したもの)、コンセプト文は、いずれもご本人の手によるものである。

ータグラインー

食らう語らう、50年先までの鉄板経営を考える

ーネーミングー

50年倶楽部

ーコンセプト文ー

私は岡山で会社を経営していますが、自宅に特注鉄板を持つお好み焼き研究家でもあります。広島、関西、カキオコなどなど、美味しく楽しく食べてもらうことが喜びです。

最近気付いたんですが、私の経営スタイルとお好み焼きを焼き上げることには共通している点がいくつもあるのです。

1.まずやってみる(真似る) 2.丁寧にキレイに 3.常にもう少し上を目指していく 4.素材を生かし余分な味付けはしない 5.一貫性をもってやりきる、などなど。

そんな経営スタイルで私は今、50年先を見据えた事業を展開しています。50年先といえば私は104歳、かなりの確率で自分が存在しないだろう世の中を思い描いているんです。

とは言っても、昔からそんな長期で物事を考えていた訳ではないんですよ。事業承継で経営者になって、正直はじめのうちはいかに儲けるかしか考えてなかったと思います。

何度も壁にぶち当たり試行錯誤をつづけるなかで、周囲の理解と協力を得ることによって乗り越えながら、やるべき役割に気づき、成功の意図を変える。そんなプロセスを経て50年先も残る仕組みをつくる。そんな考えに辿り着いたのです。

植物は時間を短縮して水をたくさん与えても育ちませんよね。お好み焼きもじっくり時間をかけて火を入れることでキャベツの甘みが引き出されます。会社経営でも長い期間をかけて成し遂げたい大切な役割があるはずです。

50年先も役立つだろうと思える自分が取り組むべきことを見つける。自分が死んだ後の世の中と会社のこと考えてみるのもワクワクするものですよ。迷ったりビビったりした時も、50年先から見れば大抵のことは小事に感じて乗り越えやすいっていう特典もあったりします。

『50年倶楽部』は50年後を見据えた経営者の集まりです。

入会条件は、岡山で50年先を見据えたお好み焼き的ビジネスモデルを体感していただき、私の焼き上げたお好み焼きを食しながら語らうことです。

 

もちろん、倶楽部発足の折には、一期生のみなさんとともに岡山へ出向き、藤原さん手づからのお好み焼きを食し、大いに語らう予定である。

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