「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。
第40回「のびのびの効果」
前回、第39回は「怒りの体罰・理性の体罰」
佐々木君って知ってます?163キロの球を投げる高校生。
知ってます。
メジャーに行った大谷君と菊池君がいるじゃないですか。
はい。
その3人って、みんな岩手県出身なんですよ。
そうなんですか?
はい。みんな体もでかいんです。なんで岩手ばっかりなんでしょう。東北って甲子園では優勝したことがないんですけど。
なんででしょうね。
「のびのびと育つ環境がある」みたいなことを本人たちは言ってました。
私は北海道から沖縄まで全国を回りますけど、東北の人たちは「目に見えないものを学習しようとする意欲」が非常に高いです。
へぇ。体も大きいんですか?東北の人たちって。
いや、それはあんまり感じたことないですね。
じゃあ、あの3人がたまたまなんですか。
そうでしょうね。
でも日本には野球をやっている子供が山ほどいるんですよ。たまたま190センチ超えで、たまたま運動神経が良くて、たまたま岩手出身だったとか、あり得るんですかね。
う〜ん。どうなんでしょう。
2人ぐらいだったら偶然かなと思うんですけど。3人連続となると「何かあるんじゃないか」と考えちゃいます。
きっと偶然じゃないですよね。
たとえば総理大臣をよく輩出する県ってあるじゃないですか。
ありますね。山口県とか。
東大生が多い県とか少ない県とか。甲子園も何回も勝つ県もあれば、ぜんぜん勝てない県もある。なんでそんな差が生まれるんですかね。
やっぱり背中を見ているのは大きいでしょうね。政治家の子どもがまた政治家になるみたいな感じ。身近にいるっていうのが結構大事なんじゃないですか。
自分の県に「総理大臣が多い」みたいなのは、小さい頃から意識するんですかね。
「うちの高校から出ました」とか。講演に来てくれたりもするので。
なるほど。フェンシングとかも、1人出て来てからすごく強くなりましたよね。
体操なんかもそうじゃないですか。
ということは1人の影響で、ものすごく周りは変わるんですかね。
そういうロールモデルがいると、周りにすごく影響を与えるんじゃないでしょうか。
いまのスポーツ界のトレンドでいくと、八村類くんとか、サニブラウンくんとか、大坂なおみさんとか、ハーフのスポーツ選手があらゆるシーンで活躍してるじゃないですか。
そうですね。
でも野球界には少ないんですよね。オコエ瑠偉選手がいますけど。やっぱり大谷くんとかのほうが目立ってる。
ダルビッシュがいますけどね。ただ野球の世界って、ヒエラルキーが他のスポーツと比べて強いような気がしますね。日本独特の何かがある。
たしかにそうですね。みんな丸坊主ですし。ダルビッシュも大御所に叩かれてますし。
なんか体育会系っぽいものが、すごく残ってますよね。野球部には。
でも就職関係の人に聞くと、特に大企業とかは、野球部出身が好きらしいです。
好きですね。
それは、同じようなヒエラルキーの世界で生きてるからですかね。
そうだと思いますね。
ずっとサッカーをやってた人は「上下関係がぜんぜんなってなくて、仕事にならない」みたいに言われてます。
偏見もあるんでしょうけど、野球は特に縦社会ですからね。
ということは大谷くんや佐々木くんを排出した東北も、縦社会ってことですかね?
逆に縦社会がないから、そういう選手が出てきてるのかもしれませんよ。
確かに。「のびのび育った」と言ってましたし。
いままで縦社会でつぶされてきた人たちが、東北ではあんまり縦社会がないので育ったとか。
なるほど。そうかもしれませんね。
地道にちゃんと積み上げていくというマインドを、東北の人は結構強く持ってるんです。そういうメンタリティーも関係してるような気がします。
大谷君は「のびのびと、押さえつけられずに、好きなようにやらせてくれた」って言ってましたけど。押さえつけないからスケールの大きい子が育つんですかね。
それは身長の話ですか?
はい。環境によって人間ってそこまで変わるんですかね。
変わるかもしれないですね。
逆にガチガチの枠にはめると、本来大きくなるような子も身長が止まっちゃったりとか。
あると思いますね。
じゃあ、やっぱ、のびのび育てるって大事なことなんですね。
はい。本来持っているものを伸ばしてあげることが大事。
いま、小学校や中学校の現場ではどうなんですか?「のびのび育てよう」みたいなのってあるんですか。
今まさに「のびのび育てよう」というのが、学校教育の大きなテーマになってます。
そうなんですか!
はい。建前上は「ひとりひとりの価値を見いだして、すくすく、のびのび育てよう」っていう。
え!建前だけですか?
いや、「枠にはめよう」みたいな感じは、なくなって来てます。
へえ、そうなんですか。
あとは先生の能力次第ですね。
世界で活躍する日本人スポーツ選手って増えてるじゃないですか。
増えてますね。卓球とかバドミントンとか。
あとボルダリングとかスケボーとかも。ああいうのって、スパルタで強くなってるようには見えないんですけど。
昔は管理して強くしてましたけど。今は全然違いますね。
ですよね。自由奔放にやって、強くなってる人が増えてる気がします。
そうじゃないですか。まさに「のびのび」育ててるんですよ。
じゃあ「のびのび教育」はスポーツ界のほうが進んでるってことですか?
そうですね。スポーツの世界は、食べ物とか、体のこととか、メンタルとか、めちゃくちゃ学習してるので。学校の教育とかマネジメントよりもはるかに先行ってる。
どうしてスポーツ界の方が早いんでしょう?
成果が見えやすいからじゃないですか。
金メダルとったりとか。
はい。そういう見えやすさもありますし、成果が出るまでが早い。
早いと言っても何年もかかりますよ。
学校の教育とかマネジメントって、何十年というスパンなので。
確かに。目に見える成果とかも分かりにくいですしね。
そうなんですよ。そこが一番難しいところ。
どうしたらいいんですか?
子供達の持っている力を信じて伸ばしていくしかないです。
2件のコメントがあります
Es sind maximal 39 von 50 Trophäen erspielbar.
Ja, die platin ist nur mit der us version möglich.