変と不変の取説 第51回「独立国の境目」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第51回「独立国の境目」

前回、第50回は「エネルギーを失くしたおじさん達の末路」

安田

日本は一応、独立国ってことになってるんですけど。

一応そうですね(笑)

安田

でも冷静に考えたら、アメリカに言われたものは全部買わなきゃいけないし。基地のお金も負担しなきゃいけないし。体のいい植民地みたいなもんだろって気がします。

それが現実じゃないですか。

安田

なぜその現実を国民にちゃんと言わないんでしょうか。日本の政治家は。

そんなことしたら消されますよ(笑)

安田

やっぱり消されるんですかね。でも真実は残りますよね。ネット社会だし。言ったものは取り消せないじゃないですか。

そんなリスキーなことしませんよ。政治家なんて保身しか考えないので。

安田

でも「消されるから黙ってる」というよりは、逆に「俺たちは独立国なんだ」って洗脳してるように見えるんですけど。

ああ、なるほどね。体裁上、独立国っぽく演じてると。

安田

そう思わせたいんじゃないかなと。

自分の意思で「米軍基地を置いてるんだ」みたいな?

安田

鳩山さんも「沖縄から基地をなくす」とか言ってましたけど。たぶんホワイトハウスで怒られたと思うんですよ。「そんな権限はお前らにはない」って。

ないですからね。実際。

安田

やっぱりそうですよね。

はい。

安田

米軍基地の戦力だけで、日本なんていつでも制圧できるわけじゃないですか。

一瞬ですよ。だって、われわれ自由に日本の国土の上飛べませんから。

安田

飛べませんよね。

それだけでも独立国家じゃないってことです。「領空侵犯してんのどっちやねん」って感じ。

安田

ですよね。でもなぜ独立国じゃないのに独立国ぶるんですかね。

さあ、どうしてでしょう。

安田

総理大臣になったら合衆国大統領に「わかってると思うけど、君たち独立国じゃないからね」ってくぎ刺されてると思うんですけど。

そりゃそうですよ。

安田

絶対それに近いことは言われてますよね。なのにどうして独立国ぶるんですか?かっこ悪いからですかね。植民地であることが。

一応ルール上は独立国家に見えるんですよ。

安田

独立国家に見える?

憲法も法律もあるし、三権分立もしてて、海外にも「内政干渉せんといて」って言える。体裁上は全部ある。

安田

でも独立国じゃないんでしょ?

裏では違うんですけど、独立国家に見えるってことじゃないですか。

安田

韓国も日本の一部だったわけですよね。戦争が終わるまでは。

はい。

安田

自力で独立したっていうよりは、連合国によってつくられたわけじゃないですか。北朝鮮に攻められて国がなくなりそうなところをアメリカに助けてもらって。

そうですね。

安田

それでいったら韓国も似たような状況だと思うんですよ。基地もあるし、米軍もいて占領されてるに近い状態。だけど「米軍出ていけ」とか主張してる。

しょっちゅうデモが起こってます。

安田

なぜ日本では「米軍出ていけデモ」が起こらないんですか?

沖縄では起こってますけどね。

安田

それが普通のはずなのに、おかしなことのように言われるじゃないですか。国民全体がアメリカに忖度してる感じ。

決定的なのは、韓国は「自分たちで独立した」というストーリーをちゃんとつくってること。本当かどうかは置いといて。

安田

国民全体がそう信じてると?

はい。「自分たちで抗日をやった」というストーリーをちゃんと持ってます。でも我々は国のベースをつくったのはマッカーサーだと思ってるので。

安田

完全に思ってますね。

そこをすり込まれてるので。日本人がつくってないんですよ。この国は。

安田

でも事実でしょ?

ほぼマッカーサーの意思で全部決まってる。東京裁判から何から。

安田

やっぱり日本の歴史や文化って、そこで断絶してるんですか?

残念ながら断絶しちゃってますね。一旦プツンと切られてる。

安田

だから日本人って国家に対して空虚なんですか?心から誇りを持てないというか。

「信じたものを裏切られた」っていう経験がすごく強いから。国を信じてたのに裏切られたっていう。

安田

「国に裏切られた」という思いがあるんですか。

あると思いますよ。あれだけの空襲でさんざんな目にあって、子どもたちも戦争に持っていかれて死んでしまって。

安田

その思いをまだ引きずっていると。

はい。それと近代の日本ができた背景。自分たちでやったと思うか、やってもらったと思うかで、ぜんぜん違う。

安田

でもやってもらった割には、みんなは独立国家だと普通に思ってるじゃないですか。

パスポートもあるし、日本語しゃべってるし、土地もちゃんとあって、守られてるからじゃないですか。

安田

じゃあ逆にすがってるんですかね、アメリカに。守ってもらってると。

もっと露骨に「日本人はアメリカに献上金を払え」ってなると「なんやねん!これ」みたいに感じるんでしょうけど。

安田

「思いやり予算」って「こっちが出したくて出してる」みたいな感じですもんね。

巧妙に、そういうふうにしてるんじゃないですか。

安田

なんでそんな必要があるんですかね。「アメリカの要求で出さざるをえません」って言っちゃえばいいと思うんですけど。

忖度じゃないですか。

安田

忖度なんですかねえ。アメリカ人はそんなこと求めてない気がするんですけど。

「なんて物わかりのいいやつらなんだ」って感じでしょうね。

安田

日本の国会議員はみんな「アメリカには逆らえない」って思ってるんですか。

あきらめてるんじゃないですか。

安田

「地政学的なことを考えて、自分たちの意思でアメリカと組んでる」みたいに言ってますけど。

違いますけどね。

安田

いつか完全にアメリカと切れて独立国になる可能性はあるんですか?

アメリカが切ってくれたら(笑)

安田

「あとは勝手にやれ」って?

「はい、全部ご破算!」って言われたら「じゃあ自分で憲法つくるか」みたいな。

安田

いやいや。絶対に「捨てないでくれ」ってすがりつきますよ。

未練たらたらみたいな?

安田

今さら出ていかれても困るんじゃないですか。政策も自分たちでつくってないし。自分で決裁したことないサラリーマン経営者みたいなもんですよ。

それをもう何十年もやってますからね。

安田
いまさら自分たちで国家運営できないんじゃないですか。
国外にいる日系人に声をかけるしかないですね。かろうじて自立してるのは彼らだけですから。

場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

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