第78回 美容師さんは意外と客の「髪質」には興味がない?

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第78回 美容師さんは意外と客の「髪質」には興味がない?

安田

最近、髪にボリュームがなくなってきた気がして。それで先日「これはやっぱり加齢のせいですか」って美容師さんに聞いてみたら「いや、それはクセですね」と。


岩上

へぇ、なんともあっさりした返答だ(笑)。

安田

そうなんですよ! 岩上さんと対談していると、髪や頭皮の仕組みなどからじっくり教えてくれるじゃないですか。あんな風な説明を期待していたんですが、一言「クセです」で終わりでした(笑)。


岩上

もちろんクセの影響もあるんでしょうけどね。長らく担当してくれている美容師さんが言うなら、信憑性も高いと思います。…ただこれは美容業界全体に言えることなんですが、意外と美容師ってお客様の髪質にあまり関心がないんですよ。

安田

え、そうなんですか?! 美容師さんって「髪のプロ」だと思うんですけど、お客さんの髪質に興味がない? じゃあ逆に何に関心があるんですか。


岩上

端的に言って、「お客様に求められた髪型やカラーを実現すること」です。つまり関心事は施術がメインで、髪や頭皮の健康ではない。だから「髪のお悩みってなんですか?」と踏み込む人は少ないんです。

安田

へぇ〜。なんだか医者に似てますね。病気になったら治療はしてくれるけど、病気にならないようにする方法は教えてくれない(笑)。


岩上

確かに(笑)。まぁ実際、お客さんのニーズも施術の方が大きいわけで、仕方ない部分もあると思いますけどね。ただ私から言わせると、シャンプーの仕方やドライヤーの使い方をちょっと変えるだけで改善するんだけどなぁ、もったいないなぁという印象で。

安田

ほんとですよね。髪質が改善されればもっと好きな髪型にも挑戦できたりするのに。


岩上

そうそう。だから施術だけでなくケアにも関心を持つ美容師さんが増えればいいなと思っています。「最近髪が細くなってきましたね」と伝えて、それをカバーできる髪型を提案できるような美容師がね。

安田

そうですよ。私の場合は自ら「ボリュームが減ってきたよね」と申告しても、「それはクセだからしょうがないよ」で終わりになっちゃったんですから(笑)。まぁ、実際その通りなのかもしれませんけど。


岩上

どうでしょうね。まあでも美容師側が「あ、ボリューム減ってるな」と思っても、言わないケースが多いわけですよ。場合によっては「そんなこと言うな」って怒られちゃうかもしれないし。だから余計なことは言わず、求められたことだけやるっていうね。

安田

気持ちはわかりますけど、しっかり言ってくれる美容師さんの方が信用されるんじゃないですかね。その方が「ずっと通いたい」と思ってもらえそうですけど。


岩上

まさにそうなんです。お客様って美容師から「かまわれている」ということが実感できれば、「またこの人に髪のことを相談しに行こう」って思える。だからはちょっと先回りして、お客様の悩みを積極的に聞き出したりアドバイスするようにしていて。

安田

なるほどなぁ。かまってもらえることで信頼関係ができるんでしょうね。で、それがリピートにつながると。美容師さんにとってもその方がお得ですよね。


岩上

というか、それが本来の美容師の仕事なんだと思うんですよね。単に髪型やカラーをつくる人じゃなくて、お客様の悩みに寄り添って解決する人。

安田

確かに。言われたことだけ淡々とこなすんじゃなくて、相手に喜んでもらえるようにあれこれ考えて自分から動ける。そういう人が本当の美容師さんなんでしょうね。


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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