コミュ障経営者のギモン その43「何か欲しいものがある人に、ちょっと考えてみて欲しいこと」

 このコンテンツについて

なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

何か欲しいものがある人に、ちょっと考えてみて欲しいこと

社内でね、女性スタッフからこんな相談をされることがあるんです。

◯◯が欲しいんですけど、どう思います?

・・・みたいな。

「欲しいなら買えばいいじゃん」ってことなんですが、男性読者の皆さん、これをそのまま女性に言ったら嫌われますよ。
まして、論理的な理由で買う/買わないの結論をつけたりなんかすると、「んなこと求めてねーんだよ」と女心が分からないクソ男の烙印を押されます。
とにかくまずは共感なんです!
だからでしょうかね、僕も「実はさ、今、◯◯欲しいんだけどさ、どう思う?」って返したりしちゃうんですよ。

ところで、この「◯◯欲しいんだけど、どう思う」現象ってなんなんでしょうかね?

そもそも、どうしても欲しかったら買ってますよね?
どうしても欲しい状況、って例えば、それが必要な状況と言い換えることができそうですよね。
「欲しい」がいつか「必要」になるんでしょうか?
その境目は?
気になりますね。

人は「必要」なこと(もの)には、それほど悩まずに決断できています。
例えば、「トイレ行きたんだけど、どう思う?実は漏れそうなんだよね、アハハ♪」って言いませんよね。
「漏れそうだからトイレに行く必要がある」ってことですから、いちいち相談せずにトイレに行くわけです。
トイレとの距離と膀胱の許容量との関係が境目なのかな?
・・・相変わらず例えが微妙すぎてあれですけど。

こんな風に「欲しい」が「必要」になることって生理現象以外にあるんでしょうか?

きっと、自然にそうなることってほとんど無いと思うんですよね。
それを無意識に知っているから、「欲しい」人は「必要」になるようなきっかけを探しているんですよね。

つまり・・・

「◯◯が欲しいんだけど、どう思う?」

「◯◯が必要って思える、きっかけが欲しいんだけど、何かある?」

・・・ってことなのかもしれませんよね。

ということは、優秀な販売員や営業は、「必要性」を高めるのが上手い人たちと言えるかもしれません。しかも「緊急度」も高めて。
例えば、「今だけ◯◯」や「数量限定」の類は、今買う必要性(及び緊急度)を高めているわけです。
さらに優秀な営業は、相手に応じた必要性の高め方ができているってことなんですよね。
そして、相手の「want/want to」を、「need to」や「have to」に変えていくわけです。

弊社の女性スタッフが「iPad」か「お肌のシミ取り」かを天秤にかけてたんですよね。
両方とも「欲しい」の段階なんですが、仮に両方を選択したときは相当な金額になるのでそれは選択できない、と。
ただ、今のところ両方とも「必要」ではないんですよね。
iPadが無くても仕事はできているし、シミ取りしなくても(少なくとも僕が見る限り)困ることはないわけです。
という状況ですから、僕が彼女に必要性を説くことができれば、どちらか一方、もしかすると両方とも選択する可能性もあるんです。
つまり、背中を押すというのは、「必要性を高める」ってことなんです。

実は僕もiPadを買おうか迷っていた時期がありました。
つまり、「欲しい」という感情はあったんです。
で、このメディアに寄稿するときに挿絵を書くことに決めて、自分で「必要性」を高めて購入に踏み切ったんです。
公開時期も決まってましたから、緊急度もそれなりに上げられたわけです。
僕、営業マンとしての能力は平均以下ですが(コミュ障だし…)、自分に対しての営業はめちゃくちゃ上手いんですよね。
まぁ、ただ、iPadの使い道がこの週に一回のメディアの挿絵ってだけなんですよね・・・
無理やり高めた必要性で買ってしまったものって、大体「なんで買ったんだろう…」って後悔する可能性が高い気がします。
必要性が高まらないのであれば、文字通り買う必要はないってことなのかもしれませんが。
『買ったら満足してしまう人』のときに買った一眼レフも・・・

ところで、仮に大金持ちだったら、どうなんでしょうかね。
ものを買う買わないということに限って言えば、必要性なんて必要無いのかもしれません。
だって、「欲しい」という感情の初段階でその願望を満たせるわけですから。
だから、超富裕層向けのマーケティング・ブランディングを考えるときに、「手に入らない(超希少、完全オーダーメイド)」という必要性の高め方が有効なんでしょうね。

・・・まぁ、超富裕層じゃないから全くわかんないんだけどさ。

 

著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

感想・著者への質問はこちらから