その63「人が“言われたこと”しかやらなくなる理由」

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なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

 

「あいつは“言われたこと”しかやらない」

そんな会話ってありません?
大体、不満があるときに言うセリフですけどね。
僕らは広告デザインなんかの仕事をしているので、業界で働く人だとよく耳にするセリフだと思います。
「あのデザイナーは言われたことしかやらないから駄目」とかね。
まぁ、気持ちは分からんでもないんですけどねぇ。
「それくらい言われなくても気づけよ…」
「デザイナーならそこは提案して欲しいよね…」
・・・ってブツブツ言われるんです。
それで、お節介をやいたときに限って、「余計なことしなくていいから」って言われたりね(涙)
どっちやねん!みたいな。

本来、仕様が決まっている場合、その仕様通りのものを作るって契約になります。
つまり、言われたとおりにしかやっちゃ駄目なはずですよね。
契約という厳格なところまでいかなくても、指示通りに作るって悪じゃないはずなんです。
ところが、日本では「塩梅よくやって」という、めちゃくちゃ曖昧な指示が多いですからね。
そのくせ、できたものを見て、後で色々と言われる・・・
「それなら最初に言えや!」って何度も(心の中で)突っ込みますよね。
指示が曖昧なくせに、「私の求める物を一発で出してくれ」って超能力を期待されても困るんですけどね・・・

“言われたこと”しかやらなくなってしまう原因もあるんじゃないか!?って思うんです。

例えば、あなたの会社で・・・

今度、皆で食事をしようと思う。
いつも近所の居酒屋で代わり映えしないから、何か面白い案はないかな?

・・・って、先輩から相談があったとしましょう。

あなた:
気持ちいい気候になってきたし、外でBBQするのもいいなぁ♪
大きなテラス席で、屋外BBQの設備を提供しているお店もあるし。
先輩、そんな感じでどうでしょうか?
確か皆さん、お肉もお好きでしたよね。新しいメンバーもお肉好きって言ってましたし。

先輩:
外は雨が降る可能性もあるし、そもそも外で食べたからといってお肉が特別美味しくなるわけではないよね。
何だったらちょっと割高になるしね。
だったら、普通の焼き肉屋で良いんじゃない?

あなた:
なるほど、じゃあ・・・焼き肉屋さんにしましょうか。

先輩:
最近のやつらは、“言われたこと”しかできない。

あなた:
( ゚д゚ )え!?

・・・みたいなね。
冗談みたいな話ですが、めちゃくちゃありますからねw
それどころか、結局いつもの居酒屋になっちゃう・・・みたいな(苦笑)

こういうの繰り返されると、「それなら最初に言えや」って思いますよね。
「どうせ答え持ってて、それをやりたいんでしょ?」って。
(まぁ、僕も完全にこの先輩と同じタイプなんですけどね・・・)

以前の記事(その61)で、数値データに関心が向き過ぎて、他の可能性を閉じてしまっている例をあげました。
数値データを眺めてても何もアイデアが浮かんでこないから、相談しているにも関わらず、提案をもらったら「数値が改善する気がしない」と却下されるんです(苦笑)
それで結局、「こうして欲しい」って言われたりしてね。
その要望に応えると、「言われたことしかしない」って不満を言われるっていうね(苦笑)
いやいや、客観的に見て、数値から見えない可能性について、具体的に提案してるし・・・みたいな。

こうして考えると、視野を狭くしてしまって、無意識に可能性の芽を摘んでいるんのかもしれませんよね。

 

余談:言われたとおりにするって素晴らしい

僕はフィリピン法人の立ち上げの際、三年半ほどフィリピンに住んでいました。
そこでは、仕事もプライベートも、頼んだ通りに上手くいかないことの方が圧倒的に多いのです。
だから、言われたとおりのことをやってくれただけで感動してましたけどね。
感動の閾値が極端に下がってましたよ。
例えば、レストランで注文したものが、間違いなく全てテーブルに並んで感動、みたいなね。
↓そんな僕がフィリピンでめちゃくちゃ使った英語
My order has not come yet.

 

 

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著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

1件のコメントがあります

  1. 中途半端に変なクライアントのことをこういうふうに書いてしまうから誤解が生じてしまうでしょう。また、モンスターデザイナーをつくってしまう。

    たいていの場合は、「いわれたことしかやらない」の真意は、デザインから意図が感じられないからこう言うんですよ。意図があればゴールとなるデザインとずれていても修正依頼がしやすくやりやすいデザイナーとなるのです。

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