第3回「電子カルテのせいでコミュニケーションが減った」
お医者さん
電子カルテを入れてから、患者さんとのコミュニケーションが悪くなったな。入力も大変だし、PC 画面を見ているから顔を見る時間も減ってしまった。かといって前のやり方には戻せないし…。
お医者さん
患者さんの方も、きっと医者と顔を見合わせて診察してもらいたいはずなんだ。先日など、「ずっとパソコンを見ていてけしからん」なんて口コミを書かれたって話も聞いたし。まったく、どうすればいいんだ…。
わかります。確かに今は「患者さんが病院を評価する時代」ですから、なにかと気を使いますよね。
絹川
お医者さん
……君は?
ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
お医者さん
ふうん。…やっぱり他の病院でもこういうことで悩んでるの?
ええ、とても多いです。特に、電子カルテを入れて間もない病院で、よく聞きますね。
絹川
お医者さん
ああ、そうだろうなあ。ウチもまさにそうなんだ。で、なにかいい解決策はないかな。
そうですね、意外とちょっとした工夫で改善するかもしれませんよ。例えば、電子カルテの入力を診察後患者さんが出て行った後で行ってみる。
絹川
お医者さん
え? 出ていった後で?
ええ。つまり、診察自体は電カル導入前と同じように、患者さんの顔を見て行う。そして患者さんが診察室を出ていったあとで、あらためてPCに入力すればいいんです。
絹川
お医者さん
なるほど…診察しながら入力するのが当然と思っていたが、そんなこともないのか。
そうなんです。システムと言うと決まった使い方があるように考えてしまいますが、実際はそんなことはありません。病院ごと、あるいはお医者さんごとに使いやすい運用をすればいいんです。
絹川
お医者さん
なるほどなあ。ちなみに、スタッフとのコミュニケーションはどうすればいいんだろう。以前は手書きでカルテを書いて手渡ししてたから、看護師とのコミュニケーションもそこそこあったんだ。でも今は、データでやり取りできちゃうから、あんまり話す機会もなくてね。
あるあるですね。そういうケースの場合、私は院内チャットシステムの活用をオススメしてますね。チャットを使って「指示変更したよ(!」「わかりました(^^)」なんてやり取りするんです。今どきっぽいでしょう?
絹川
お医者さん
へえ、そんなこともできるんだ。でも、そんなこと電子カルテ導入時に話題にならなかったよ。
電子カルテは導入後も運用のチューニングが必要なんですよ。ちょっとした工夫をするだけで、患者さんやスタッフの満足度もかなり上がります!
絹川
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。