システムの保守契約は月額ではなくスポットのが得?〜お医者さんは、なやんでる。 第162回 〜

第162回 「システムの保守契約は月額ではなくスポットのが得?」

お医者さん
お医者さん
ああ、月末は支払いが立て込んで大変だな……それにしてもこのシステム保守費って、本当に必要なんだろうか。
お医者さん
お医者さん
毎月固定で取られてる割に、業者の顔はもう何ヶ月も見ていない。結局、何もやっていないのに金だけ取られてる感じだな。
固定費はできるだけ下げたいですもんね。クリニック経営をされている先生は皆さんそう仰います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そりゃそうだよ。まあ、クリニックに限らず経営者は全員そう思っているだろうがね。……って、あなたは一体?
初めまして。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、知り合いの医者から聞いたことがあるぞ。妙に話し好きの医療コンサルがいるって……君のことかね?
おそらくそうだと思います(笑)。とはいえ、いわゆる医療コンサルというより、電カルの導入からスタッフ採用まで何でも相談にのる何でも屋という感じですけれど。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふぅん、まあいい。ところでその保守費用についてだがね、これって本当に月額固定で払う必要があるのかね。トラブルなんてそうそうないんだし、何かあったときだけスポットで来てもらえばいいように思うが。
仰る意味はよくわかります。実際、一時期は先生の言うようにスポット対応の契約が流行ってましたね。そっちのほうが割安だからと。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
だろう? 実際、うちに業者がやってきたのは何ヶ月も前だよ。
確かに、トラブル時にきちんと対応してもらえるなら、個人的にもスポット契約への切り替えはアリだと思いますよ。ただ――
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ただ、なんだね?
急な依頼に対応してくれる業者がいるかどうか、そこが問題になりつつあるんです。というのも、システム保守業界の人員不足がかなり深刻なんですよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
人員不足? つまり、保守スタッフが足りていないということかね。
仰るとおりです。スポット契約にして金銭的には楽になったが、実際のトラブル時に誰も捕まらなくて困ってしまう、そんなケースが想定されるんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど……確かにそれは困るな。
ええ。システムトラブルによって診察ができない、検査ができないなんてことになれば、患者さんに迷惑がかかるだけじゃなく、売上減少にもつながります。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うーむ……なるほどな。そういう意味では、常に業者を捕まえておける月額契約の方が安心だとも言えるわけか。
仰るとおりです。月額契約を解約した後、新規で契約を結んでくれる業者が見つからない可能性もあるわけですから。もし見つかっても、基本的に業者は固定契約のクライアントを優先して、スポット対応は後回しにしがちです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
お得意様優先、ということか……確かにそうする気持ちもわからなくはないがね。かといって、うちだって無尽蔵に金があるわけじゃない。少しでも節約したいんだよ。
私としてはまず、システムの現状をしっかり棚卸ししてみることをオススメします。いま使っているシステムの中に、実際には必要ない機能が組み込まれているかもしれません。そういうものを削除していけば、保守契約の金額も下がるかもしれません。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、なるほどな。100を0にするんじゃなく、100を80、70に減らす線を探るわけだな。確かにそれはアリかもしれん。
ええ。とはいえ、逆のパターンも十分に考えられます。つまり、棚卸ししてみた結果、足りない機能が明らかになるかもしれません。そうなったらむしろ保守費は上がるかもしれない。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
はっ……それじゃ本末転倒じゃないか。まったく、だいたい最近は何でもシステムシステム言い過ぎなんだ。前みたいにアナログのままでいいじゃないか。
ベテランのお医者さんはよくそう仰いますけど、いろいろ時代も変わってますからね。先ほど出した人手不足の話も、保守スタッフだけの話じゃありません。医療業界も空前の人手不足だって、先生もご存知でしょう?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
む……まぁ、そりゃな。
つまり医療従事者側も人が足りず、システムに頼らざるを得ない状況になっているってことなんです。そういう意味では月額契約で面倒見てくれる業者がいるというのはラッキーだとも言えるわけで。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほどな。事実上、クリニック側の立場の方が下になりつつあるってことなんだな。愛想を尽かされないよう気にしなければならないのは、こちら側なのかもしれん。
そこまでではないですが、でも、業者さんと仲良くしておくのはクリニックにとっても有益だと思いますよ。
絹川
絹川

 

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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