第16回 「自然」と「不自然」の境目はどうわかる?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第16回 「自然」と「不自然」の境目はどうわかる?

安田
以前、人間は「自然の一部」だという話をしました。でも人間って、様々なものに手を加えることで、どんどん「不自然」も生み出していきますよね。

久保
そうですねぇ。科学や技術が進んだことで、人間が楽に気持ちよく生きられるように人工的なものがたくさん作られるようになりましたよね。
安田
人工的なもの……それってつまり、自然界から見たら「不自然」なものということになりますか?

久保
はい、そうです。たとえば、私が言うのもなんですが、サプリメントとか(笑)。あれって1つの成分がギュッと集められて固められてできているわけですが、自然界の中ではそんな状態ありえないじゃないですか(笑)。
安田
確かにそうですね(笑)。

久保
ある種の「不自然」であるサプリメントも、うまく用いれば良い作用をもたらします。けれどあまりにもそちらにばかり偏ると、「自然な状態」からは外れていってしまうんですよね。
安田
ということは、その「不自然」なものを「どこまでOKにするか」というラインがあるのかもしれませんね。

久保
あぁ、確かに。「このあたりまでの不自然なら、許容できるよ」というようなラインがあるのかもしれないですね。
安田
たとえば「100%純度の亜鉛」と言われると、ちょっと不自然な気はしますよ。でも「卵白だけを泡立てて作ったメレンゲ」はどうでしょう?

久保
う〜ん、なんとなく後者はOKな気がしますね(笑)。
安田
私も同じです(笑)。どちらも「1つの成分だけを取り出し、ギュッと集中させている」という意味では、同じことなのに。何が違うんでしょうねぇ。

久保
う〜ん……。そもそも、人工的な食べ物や薬って自然界に存在しない分子構造をしていますが、それを使って、体の機能をうまく作用させることもできるわけなんですよね。
安田
なるほどなるほど。

久保
でもそれはあくまでも「うまく使うこと・摂取しすぎないこと」が大前提。本来であれば不自然なものは体内で「異物」として判断されてしまいますから。
安田
ということは、「体にはあまりよくないけど、このくらいなら許される」「ここから先はちょっとやりすぎ」という2つの視点に、ライン=境目がありそうな気がしますね。

久保
「体に良い・悪い」の視点で、「自然・不自然」のラインを見極める。そんな感じでしょうかね?
安田
ええ。ただ私は、この「ライン」を科学で明確に規定するのは難しいと思いますね。

久保
ほぉ、どうしてそう思われるんですか?
安田
科学とは無縁だった大昔の人たちも「何が体に良い」「何をやったら寿命が短くなる」「これは運が悪くなる」というようなことを分かって生活していた。それはどちらかと言えば、感覚的なものですよね。

久保
確かにそうだと思います。
安田
その人の感覚、あるいは経験から「ライン」が作られていった。これを「万人に等しいもの」として規定するのは難しいんじゃないかということです。

久保
ああ、なるほど。それで言うと私、ちょっと思うことがあって。
安田
ほぉ、なんでしょうか?

久保
人間の体って、「自然のものを食べることで体ができ上がる仕組み」になっているわけですよね。逆に言えば、その仕組みに合致するものだけを食べていれば、トラブルは起こらないんじゃないかって。
安田
なるほど。人間の仕組みに沿ったもの、即ち「自然なもの」を食べることで体へのリスクは低くなる。そういうわけですか。

久保
ええ。そしてそれって、ホリスティックニュートリションの根底にある考え方と似ているんですよね。そういった「人間としての本来の感覚」を大事にしよう、という考え方。
安田
ははぁ、確かに。科学的な裏付けがあるわけではないけれど、「人間に許されているライン」というものは確かにあって、それを追求していこうということですね。逆に言えば、そのラインは結局、人間一人一人が自分の感覚で判断する他ないと。

久保
そうそう。だから私の健康人生塾でも、「全員こういう食事をしてください」ではなく、一人一人とじっくり話をして、その人にあった食生活を提案させてもらっているんです。
安田
なるほどなぁ。そういう意味でも普段から、「自分の感覚」を研ぎ澄ませておく必要があるのかもしれませんね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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