第45回 治せる病気、治せない病気、そして寿命のこと

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第45回 治せる病気、治せない病気、そして寿命のこと

安田
久保さんと対談を重ねるごとに、「病気っていったいなんなんだろう」と考えることが増えまして。そもそも久保さんは病気をどう捉えていらっしゃるんでしょうか?

久保
そうですね…お釈迦様が仰るには、病気は「四百四病」あると。そして人間が生きていく以上「四苦八苦」の中の「病苦」、つまり病気はなくならないと。とはいえ私の心理としては「なぜ病気はなくならないんだろう」という気持ちもあって。
安田
そうですよね。久保さんは常々、「現代人の病気は生活習慣が引き起こしている」と仰っています。つまり、自分から病気になっていっているようなものだと。

久保
ええ。今や社会問題になっている「生活習慣病」は、外部からのウィルスや菌のせいではなく、体内のバランスが崩れ、それが表面化した状態です。そういう意味では普通の「病気」とは少し違うのかなと。
安田
不要なものを過剰に摂取していたり、逆に体を作るために必要な栄養素が不足していたり。そういうことが原因で不調が起こっている、ということですよね?

久保
仰る通りです。ですから私は、生活習慣由来の病気というのは、「体からのサイン」なんだと捉えていまして。
安田
ほぉ、サインですか。

久保
というか、世の中にある病気の8〜9割はこの「体からのサイン」に属するものだと思っています。「生活が乱れているから注意してね」というサインですね。で、それに属さない残りの1〜2割が、いわゆる「病気」なんじゃないのかなぁと。
安田
なるほど。「体からのサイン」である生活習慣病は、生活を改善すれば自分自身で治せるわけですもんね。

久保
はい。とはいえ生活習慣病にも種類があって、言葉通り生活習慣が原因のものと、それとは関係ない先天的なものもある。糖尿病などはその典型ですね。
安田
ああ、「1型糖尿病」と呼ばれるものですよね。子どもでも発症する可能性があると聞いたことがあります。

久保
そうなんです。そういう先天的なものは、生活習慣を改善したところで治らない。つまり「生活習慣病」というカテゴリの中にも、いわゆる「病気」に属するものが含まれているわけです。
安田
なるほど。つまり本人の生活や努力に関係なく罹ってしまうものが「病気」だと。

久保
もちろんいろいろな例外はあると思いますけれど。すごくシンプルに言えばそういうことになりますね。
安田
そこでふと思ったんですが、そういった生活習慣に関係のない「病気」こそ、もっと早期に発見されるべきなんじゃないですかね。だから人間ドックとかも、もっと若いうちからやった方がいいんじゃないかって思っていて。

久保
ほぉ、なるほど。確かに人間ドックって、だいぶ年齢がいってから始まりますもんね。
安田
そうなんですよ。で、そういう年齢で見つかるのはだいたい「生活習慣病」だと、以前の対談で久保さんも仰っていました

久保
そうなんですよね。さらに言えば、見つかったところでそれは生活を改善しない限り治らない。西洋医学で治療できるものではないんですよね。
安田
ですよね。一方で、生活習慣病ではない「病気」が見つかる可能性もゼロではない。それならば、子どもや若者こそ積極的に人間ドックを受けて、病気の早期発見・早期治療につなげればいいんじゃないのかなと思ったわけです。

久保
ああ、なるほど。確かに早い段階で病気がわかれば、対策が打てますもんね。40歳50歳になって初めてわかるよりずっといい。
安田
そういうことです。だから国が主導して「人間ドック」の制度を再整備してもいいのかもしれない。

久保
確かにそうですね。早期治療できれば医療費の節約にもなるかもしれませんし。
安田
ですよね。それにしても、なぜ人間だけこんなに病気になるんでしょう。野生の動物にも当然病気はあるでしょうが、人間ほど多くはないと思うんです。

久保
人間の方が病気が多く見えるのは、自然界では「病気=死」だからだと思いますね。免疫力が落ちてウイルスや病原菌に侵されるのは人間も動物も同じですが、動物の場合治療ができずそのまま死んでしまう。
安田
ああ、なるほど。「病気」という状態で長生きすることができないと。

久保
そうなんじゃないかなと思います。医療が発達して人間は死なずにすむようになった。結果「病気」と共存しながら生きる人が増えたということなんでしょう。
安田
その「病気と共存」という感覚、私は大事にしたいですね。生活習慣を整えて、健康を保っていた上でなってしまった「病気」については「これはもう寿命なんだ」と迎え入れる姿勢を持っていたいというか…。

久保
確かに元気だった若い頃にはかからなくても、年を取って免疫が落ちることでかかる病気もありますからね。そうなった時には、確かに「受け入れる」という心持ちも重要だと思います。
安田
ですよね。私たちくらいの年齢になったら、病気になったからと言って「西洋医学の力で何が何でも治すぞ!」となるのではなく「仕方ない」とある種の諦めのような姿勢を持って寿命を全うするほうがいいのかもしれませんね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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