この対談について
健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。
第53回 食事制限とは無縁の「ケアリングフード」を堪能できるレストラン
第53回 食事制限とは無縁の「ケアリングフード」を堪能できるレストラン
先日は元麻布の『エピキュール』というお店で大変美味しい食事をご馳走になりまして。どうもありがとうございました。
いえいえ、とんでもないです。いかがでしたか?
いや〜、驚きの美味しさでした! 事前に「体に良い食事」とお聞きした時、正直なところ美味しさに関してはあまり期待していなかったんですけど。いい意味で期待を大きく裏切られました(笑)。
それは良かったです(笑)。どのお料理も本当に美味しかったですよね。安田さん、最初のスープから驚かれていましたもんね(笑)。
ああ、玉ねぎのスープですね。「こんなに甘いのに、お砂糖が入っていないの?」ってびっくりしましたよ。玉ねぎだけであの甘さが出せるの、すごいですよね。野菜もどれも美味しかったですね〜。
豆乳バターもすごくなかったですか?
ええ、本当に! まず大豆でバターが作れることに驚きましたし、味もちゃんとバターの味がする。なんなら乳製品で作るバターよりも美味しい気がしました(笑)。
笑。お口に合ったようで良かったです。
読者の方もきっと気になっていると思いますので、『エピキュール』がどんなお店なのかご説明いただいてもいいですか?
ええ、もちろん。エピキュールは「みんなで1つのテーブルを笑顔で囲めるように。」をコンセプトにしているレストランで。何らかの理由で食事に「制限」がある方でも、できるだけ同じメニューを食べられるようにしているんです。
「何らかの理由」というのは、例えばアレルギーとか宗教上の理由とかですか?
はい。もしくはベジタリアンやビーガンなどご自身の信念による制限がある方や、個人的な「好き嫌い」といったことも含まれます。とにかく「どんな人でも美味しく食べられて、カラダにも優しい」というお食事を提供するレストランです。
そういう食事のことを「ケアリングフード」と呼ぶんでしたっけ?
仰るとおりです。そもそもは「制限食」の最高峰を作りたい、という想いで提唱されたのが「ケアリングフード」だったと聞いています。医学的にも科学的にもカラダに良く、しかも栄養があって美味しい料理。
なるほど。で、最初にそれを提唱されたのが、今回一緒にお食事させていただいた田中さんだったと。エピキュールはもともと田中さんがオーナーさんだったんですよね?
そうですね。で、ケアリングフードを広めていこうという時に組んだシェフが、現在のオーナーシェフでもある藤春さんという方です。
ご挨拶させていただきましたけど、すごい方なんですよね? エピキュールで出されているすべてのお料理を、藤春さんが考えられているわけでしょう?
はい、もう彼は素晴らしいですね。科学者のように実験を繰り返し、医者や栄養士さん以上に栄養について学び、もちろん料理の腕前も超一流。
スーパーマンみたいな人ですね(笑)。
本当に(笑)。あれだけの技術と知識と見聞を持っている料理人は、なかなかいないと思いますよ。彼がいたからこそ、「ケアリングフード」という食の考え方が多くの方に受け入れられたんだと思います。
でもそれだけ腕がある料理人だったら、とにかく「美味しさ」を追求したくなっちゃう気もするんですけど。どうしてわざわざ制限食を選んだんでしょうね。
確かに何の制約もなければ、もっと提供できる料理の幅も増えるかもしれませんが…。おそらく藤春さんは、そういう思考はお持ちではないんじゃないかと思います。
使える素材などに制限がある中でも、いかに「制限を感じさせない食事」を提供できるか、ということに力を注いでいるのかもしれませんね。
そう思います。ちなみに、私もこれまでにいろいろな「食にこだわりを持ったお店」を見てきたんですが、残念ながらどのお店も長続きしないんですよ。
それは「こだわり」に縛られすぎて、美味しくなくなってしまうからですか?
それもありますし、あとは単純にコストが高くなりすぎて、経営が成り立たないケースもあるように思います。自然農法の野菜だけを扱うお店なんて、そもそも仕入れの値段がものすごく高いですからね。
でもそれはエピキュールさんだって同じですよね。それでもあれだけ流行っているといるのはなぜなんでしょう。
中途半端なことをせず「制限食の最高峰をつくる」ことに全振りしているからだと思いますね。だから「値段が高くても通いたい」という、こだわりの強い固定客を掴むことに成功しているんだと。
なるほどなるほど。藤春シェフの強い信念が、エピキュールを支えているわけですね。そういえば最後に出てきたケーキもものすごく美味しかったんですけど、あれもいろいろなアレルギーに対応しているわけですよね。
そうなんです。特にケーキって、普通は卵や乳製品、小麦などが使われているので、すごく難しいんです。アレルギーがあるお子さんによっては、一度も「誕生日ケーキ」というようなものを食べたことがない子もいて。
そうでしょうね。でも、そういう子でも安心して食べることができるケーキが、エピキュールにはあるわけですね!
仰るとおりです。「他のお友達と同じように、ケーキでお誕生日お祝いをすることができ、家族みんなで涙しました」みたいな感想がお店に寄せられることもあるそうで。私も感銘を受けましたね。
イイ話ですねぇ。というか、アレルギーの有無にかかわらず、食事制限をしなくてはいけない人って割と多いと思っていて。
確かにそうですね。「この食材を食べるとお腹の調子が悪くなる」とか「体調を維持するためにもこういう食材はなるべく避けたい」といった方もいらっしゃいますし。
そうそう。あとは年をとってくると、食べるのがしんどくなる料理も出てくる(笑)。そういうことも含め、どんな食の制限でも受け入れて、しかもものすごく美味しい料理で提供してくださるレストランなので、本当にオススメですね。
そうですね。広尾駅から有栖川公園の横を通っていくとお店がありますので、ぜひ多くの人に行っていただきたいです。
…あまりたくさんの方が行って連日満席とかになってしまうと、我々が行けなくなってしまうのでちょっと困りますが(笑)。食事に制限はあるけど、美味しいものが食べたいという方はぜひ一度足を運んでみてください!
対談している二人
久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家
仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。