第56回 適度な貧乏生活が、心とカラダの健康を育む?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第56回 適度な貧乏生活が、心とカラダの健康を育む?

安田
突然ですが最近、「貧乏な方が健康になれるんじゃないか」って思っていまして。久保さんは、収入と健康ってなにかしらの関係があると思いますか?

久保
うーん、どうでしょうか。お金がある方が、健康に気を遣った生活ができるかもしれないとも思いますけど…。なぜ安田さんはそう感じるようになったんですか?
安田
私は以前、会社が潰れたことで全く贅沢ができなくなった経験があるんですね。で、その時どうしたかと言うと、それまで毎日していた外食を止めたんです。

久保
なるほど。自炊をすることで、食費を切り詰め始めたと。
安田
ええ。最初のうちは高い肉を買ってきてワインと一緒に楽しんでいましたけど、当然そんな生活も長く続けられず(笑)。

久保
確かにそれだと外食生活とあまり違わないですもんね(笑)。
安田
ええ(笑)。とは言え、毎日献立を考えて作るのも大変じゃないですか。だからだんだん「毎日繰り返し食べても飽きなくて、健康にも悪くない食事」を極めていったんですけど、それがかなり「粗食」だった。

久保
へぇ〜! どんなお食事に行き着いたんですか?
安田
納豆と卵焼きと麦飯でしたね。それを毎日食べていたんですけど、どんどん美味しく感じてくるんですよ。

久保
健康にもすごく良いですし、何よりお財布にも優しい献立ですね(笑)。
安田
そうなんですよ。あとは、会社が潰れてからはバスや電車移動が当たり前になりました。昔はちょっとの移動距離でもタクシーに乗っていたのに(笑)。

久保
なるほど。収入が減ったことで、かえって健康的な生活を送れるようになったんですね(笑)。
安田
ええ。だから冒頭にお伝えしたように、お金をかけない「質素な暮らし」が、結局のところ一番カラダにいいんじゃないのかなと思ったわけです。いわゆる「生活習慣病」とも無縁の生活に近づいているわけですし。

久保
確かに現代人は、文明が発達していろいろなことが便利になったことで病気になるパターンが多いですから。
安田
車や自転車のような便利なものができたことで、歩かなくても生活ができちゃう。現代人は全然歩かなくなったって言いますよね。

久保
そうそう。だから皆さん、健康のために一生懸命ジム通いをしてトレッドミルの上をひたすら歩いているじゃないですか(笑)。そう考えると、文明が発達して便利になることは、人間の「進化」ではなく「退化」なのかもしれないですね。
安田
やっぱり、生活が豊かになったことで、かえって不健康になるというのは間違いじゃなさそうですね。そもそもお金があると、自分がやりたくないことはお金で解決してしまいがちじゃないですか。

久保
確かに最近は、家事を外注する方も増えているようですね。
安田
ああ、まさにかつての私です(笑)。「自分で掃除・洗濯をする1時間を、仕事をする時間にあてれば、もっとお金を稼げる。その方が合理的だ」という考えで、全部ダスキンさんに外注していました。

久保
そうでしたか。でもそれも会社がなくなった後はご自分でやるようになったんですよね?
安田
ええ。掃除を外注するような身分じゃないだろうと考えを改めました(笑)。で、半ば仕方なく自分の身の回りのことは全部自分でやるようにしたら、なんと、精神状態がとっても朗らかになってきたんですよ!

久保
やはりここでも「ちょっと貧乏なくらいの方が健康なんだ」という安田さんの説の裏付けになりましたね(笑)。
安田
まあ、「それって貧乏人の僻みでしょ」と言われてしまうかもしれませんが(笑)。

久保
笑。安田さんのお話を聞いていると、諸悪の根源って「めんどくさい」、これに尽きるんじゃないかと思いますね。
安田
ああ、確かにそうですね。まぁ、そもそも「人生」とか「生きること」って、めんどくさいことの連続なんですけど(笑)。

久保
ええ(笑)。だからこそ「めんどくさい」を解消するために様々な技術が開発されて、文明も発展してきた。ただその裏ではいろんなことを自分でやらなくなり、結果的に「不健康」につながっていくのかなという気はしますね。
安田
それで言うと、趣味って「めんどくさい」ものが多いんですよ。例えば釣りなんて、事前に毛鉤を作ったり道具の手入れをしたり、早起きして釣りスポットまで移動しなきゃいけないわけでしょ?

久保
しかも釣れるまではじっと待ち続けなくてはいけないし(笑)。
安田
そうそう(笑)。だけどそういう「めんどくさいこと」がないと趣味とは言えないと思っていて。「魚を手に入れる」ことが目的なら魚屋さんで買えばいいわけで。

久保
手に入れるまでの「プロセス」が趣味なんですもんね。いわば一番「めんどくさい」部分を楽しんでいると。
安田
仰るとおりです。で、人生も全く同じだなと。「めんどくさいこと」こそが、人生の本質だという気がしますね。

久保
そういえば最近は「昭和」に憧れを持つ若者が増えているそうですね。現代よりちょっと不便でめんどくさい技術なんかに回帰しているらしいです。
安田
ああ、聞いたことがあります。わざわざレコードで音楽を聞いてみたり、昔ながらのラジカセが再発売されたりしてるんですってね。

久保
ええ。スマホをちょっと操作すれば好きな曲がすぐ聞けるんだけど、それをわざわざラジカセで聴くことが逆に楽しいと感じるんでしょうね。
安田
やはり「めんどくさいこと=人生を楽しむための本質」だということで間違いなさそうですね(笑)。そしておそらく、「お金がない」という不便さがあることで、「めんどくさいこと」を受け入れやすいんじゃないでしょうかね。

久保
だからお金持ちじゃない方が、実は心もカラダも健康で幸せになれると。納得です(笑)。いやぁ〜、面白いお話をありがとうございました!

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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