第61回 40℃の高熱が出ると、免疫力は大きくアップする

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第61回 40℃の高熱が出ると、免疫力は大きくアップする

安田
先日SNSを見ていたら「体温が39℃になれば、ガン細胞は死滅する」って言っている人がいたんです。逆に35℃台はガン細胞にとって適温だからどんどん増えるって。久保さんはどう思われます?

久保
うーん、正直なところ「どこまで信憑性のある話なのかな?」という感じです。ただ、確かにガン患者さんの多くが「体温35℃程度=低体温」という事実はありますね。
安田
そうなんですか。実は私も低体温気味なんです。体温は低めの方がカラダに良いようなイメージがあったんですが、違うんですね。

久保
ええ、残念ながら…(笑)。一般的には「平熱36.5℃」くらいを保つのがいいと言われていますね。それくらいの体温の時に体内の「酵素」が活性化しやすいので。
安田
以前の対談でもお話しいただきましたが、酵素って確か、カラダの免疫に影響を与えるものでしたよね?

久保
そうですそうです。酵素が活性化すればするほど免疫力が上がります。酵素は何種類もあるんですが、そのほとんどが37〜38℃台で一番活性化しやすいんですって。
安田
…うーん、体温38℃なんて、フラフラになりません? いくら酵素を活性化させるためとは言え、そんな高熱の状態じゃまともに暮らせない気がしますが…。

久保
いやいや、これは酵素が多くいる「腸内」の温度です(笑)。体温って脇の下で測りますけど、そこと腸内とは約1〜2℃の差があって。脇の下で36.5℃なら、腸内は37〜38℃くらいなわけです。
安田
ああ、そうなんですね、安心しました(笑)。平熱36.5℃くらいであれば酵素も腸内で活性化しているから免疫力が上がり、結果として病気にもなりづらいと。

久保
仰るとおりです。ちなみにインフルエンザやコロナなど何かしらの菌やウイルスが体内に入ると、それをやっつけるために40℃くらいまで腸内温度を上げて、酵素の活性化をさらに進めるわけです。
安田
へぇ。でも40℃なんて高温でも酵素は死滅しないんですか?

久保
確かに酵素はタンパク質でできているので、あまりに高熱だと壊れて不活性化してしまいます。その境目となる温度が…
安田
お! 境目研究家の私としては、その境目、気になります(笑)。

久保
笑。ズバリ境目は「48℃」です。そこを超えると酵素は死んでしまいます。もっとも、42℃あたりを超えると急激に活性化のレベルが下がってしまうので、高ければ高いほどいいということではない。そう考えると、体温が40℃くらいのときが、免疫システムとしては一番活性化している状態というわけですね。
安田
うーん…40℃も熱が出ていたら、肉体はヘロヘロですけど…(笑)

久保
そこは「あえてヘロヘロにさせている」とも言えます。熱を高くしているのは、菌やウイルスを殺すために酵素を活性化させるためなので。無駄に力を使わなくてすむように、わざとダルくさせているんです。
安田
なるほど〜! じゃあ高熱の時ってご飯も食べない方が良かったりしますか?

久保
ええ。ご飯を食べると、消化にもエネルギーを使わなくてはいけなくなる。つまり体内でエネルギーが分散してしまいます。「菌を殺すためにエネルギー使ってるんだから邪魔をするな!」ってことですね(笑)。
安田
笑。実は先日、子どもが熱を出しまして。39.9℃まで上がってぐったりしていたから、何か食べさせてあげなきゃって手を尽くしたのに何も食べなくて…。でも今の理屈だと、それが正解だったんですね。

久保
そういうことです。お子さんはちゃんとカラダの声に従っていたってことですね(笑)。
安田
熱が出たら、むしろしっかりご飯を食べるべきだと思っていたんですが、それは違うんですね。今、私の中の常識がガラガラと音を立てて崩れていっています(笑)。

久保
笑。とは言え、本当に重症になった場合は、エネルギー切れで死んでしまうことも無きにしもあらずで…
安田
え、それは恐ろしい…

久保
ある意味、病気になった時点で持っているエネルギー量によって、寿命が決まるんですよ。結局「どれだけ体力が残っているか」が重要で。
安田
あぁ、だからウチの子も、元気になった後に1kgぐらい体重が減っていたのか! カラダに貯えていたエネルギーを使いながら、一生懸命ウイルスと戦っていたんですね。

久保
そういうことですね。つまりエネルギーの貯蔵量が多ければ多いほど、病気としっかり戦えるということです。そしてその分、寿命も長くなる。
安田
ははぁ…だから、ちょっと太っているくらいの方が長生きできる、って言われるんですね。

久保
そうですね。体脂肪率がすごく低いアスリートの方より、ポチャッとしている方の方が実は長生きできる可能性が高い、なんて言いますよね(笑)。
安田
ここまでお話を聞いてきて、「熱が出ることは意外とカラダにとっては良いことだ」という気がしてきたんですが、その理屈で言えば解熱剤は使うべきじゃないんでしょうか?

久保
そうですね、私はオススメしません。せっかくカラダが免疫力を上げて戦っているのに、無理やり武器を奪うようなものですから。
安田
やっぱりそうか…。でも子どもが高熱でしんどそうにしていると、楽にしてあげたくてどうしても飲ませちゃうんですよ。実際それでよく寝てくれたりするし。

久保
もちろん寝ることによって体力が回復するのも事実です。特に小さいお子さんだったら、解熱剤の力を借りて熱を下げ、よく眠らせて体力回復に努める、というのも1つの手だと思いますよ。
安田
ああ、よかったです(笑)。じゃあ大人は我慢しましょう、ということですね(笑)。

久保
そういうことです(笑)。実際38℃くらいの熱であれば、解熱剤も飲まず、無理に食べることもせず、じっと我慢したほうが早く治ると思いますよ。
安田
なるほどなるほど。いやぁ、今日の対談は新事実をたくさん知れて良かったです!(笑)

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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