第71回 48時間放置しても腐らない食品って、本当に安全?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第71回 48時間放置しても腐らない食品って、本当に安全?

安田
この対談を通じて久保さんからいろいろなお話を聞いてきたことで、私、コンビニのおにぎりが食べられなくなっちゃったんですよ!

久保
ああ、まぁ、そうなりますよね(笑)。
安田
今までは「手軽にこんな美味しいおにぎりが買えるなんて最高だな」と思っていましたけど、冷静に考えたら「時間が経ってもここまで瑞々しいままなのは、なんかおかしいぞ」と思うようになりまして…(笑)

久保
よくお気づきになりました(笑)。それこそイクラの入ったおにぎりが常温で食べられるなんて、違和感ありますよね?
安田
ええ。それでね、以前久保さんは「コンビニから食中毒は出ない。でもそれが危険なんだ」と仰っていて。だから今日はそこを詳しく教えていただきたいと思っています。

久保
なるほどなるほど。そもそも「日本の食の安全=絶対に食中毒を出さないこと」になっていますよね。
安田
え、それは当たり前のことなんじゃないですか? 食中毒で消費者が病気になったり死んでしまわないために努力しているわけで。

久保
というよりも、私は「食中毒を出して営業停止になることで、企業が痛手を追ってしまうリスク」を極限まで減らそうとしているんだろうと考えているんです。
安田
ははぁ…消費者目線ではなく、企業目線で考えていると。

久保
そうですそうです。その傾向が特に強いのが、コンビニ業界で。だって全国どこにでもあるコンビニのうち1店舗でも食中毒を出してしまったら、最悪の場合、全店舗の営業停止になるわけですよ。
安田
それはめちゃくちゃ大きな痛手ですね。

久保
ええ。だからコンビニは国から指示されているよりももっと厳しい「自主基準」を設けているんです。それが「コンビニで販売するお弁当は、気温30℃で48時間放置していても一定の菌数より増えないようにする」というもので。
安田
ほう。今日の最高気温は31℃ですけど、こんな日にコンビニで買ってきたお弁当をそのまま2日放置していても全く問題なく食べられるよ、ということですか?

久保
仰るとおりです。もっとすごいのがサンドイッチなどの惣菜パン。気温30℃で72時間放置しても菌が増えないように作られています。
安田
え、そうなんですか?! それはかなり衝撃的ですね。というかそもそもなぜ菌が発生しないんです? もしそれがなんらかの素晴らしい技術の発展のおかげで、体に全く害がないのに72時間放置できるようになったんですよ、ということであればいいんですけど…違いますよね?(笑)

久保
残念ながら、違いますね(笑)。pH調整剤グリシンなど、いろんな食品添加物がてんこ盛りです(笑)。
安田
やっぱりそうですか(笑)。

久保
例えばご飯だけみても、複数の添加物が入っていますよ。とは言え、買う方にしてみたら便利ですからね。24時間いつでも炊きたてのような柔らかくて美味しいと感じるご飯が食べられるわけなので。
安田
確かに自宅の炊飯器のご飯なんて、たとえ保温していても3時間もすれば固くなるし、色やニオイもちょっと変わってしまってまずくなりますよね。

久保
そうですよね。だからコンビニ弁当のご飯やおにぎりが、いかに「不自然」かがわかっていただけると思います。
安田
ということは、短期的には食中毒にならないけれど、長期的に見たら「病気の素」を食べているみたいなもんじゃないですか!

久保
そうですね。まあ正直なところ、添加物入りの食品を食べたからといって1日2日で病気になるわけではないから、そこの因果関係を示すはとても難しいんです。とは言え、確実に体は蝕まれていっていると思いますよ。
安田
怖いなぁ。ところで日本の添加物の規制って、海外に比べてかなりゆるいと聞いたんですけど、それは本当なんですか?

久保
はい。日本は、使用を認可されている添加物の種類が桁違いに多いですね。アメリカが133品目なのに対して、日本は確か1500品目ほどあります。
安田
なんと! もはや日本人を不健康にさせたいために規制をゆるくしているんじゃないか、って疑いたくなってきましたよ。なんだか私、国のことを信じられなくなってきました…。

久保
本当ですよね。サプリメントに「効果があってはいけない」という基準なんかも含め、日本って、こと「健康な食事」に関しては、なんだかおかしなことになっています。
安田
もし本気で健康な食事をしたいのであれば、国の決めた基準ではなく、自分で基準を決め直すしかないのかもしれない。

久保
そのとおりだと思います。というか結局のところ、今の日本人の食生活って「めんどくさい」が諸悪の根源だという気がするんです。「手軽に便利」ということを求めすぎていて、手間がかかることを省いた結果が、「添加物まみれの食生活」につながるのかなと。
安田
もっと丁寧な暮らしをしろ、と(笑)。

久保
そうそう(笑)。昔だったらお家でぬか床を作ったり、梅干しを作ったり、味噌や醤油も作っていたけれど、今そんなことをする人、ほとんどいませんよね?
安田
いないですねぇ。たしかにそういう作業って「めんどくさい」ですもんね。

久保
ですよね(笑)。でもそういう「めんどくさいことをやる」のが、長期的に見れば「健康でいられること」につながるんだと思います。せめて手間暇かけて作った良い食品を、その価値に見合った価格で買う心持ちは必要ではないでしょうか?
安田
なるほどなぁ。自分の体を守っていくためにも、手軽さばかりを追求していないで、もっと手間暇をかける、それが無理ならお金をかけていくべきなんでしょうね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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