この対談について
健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。
第73回 PCR検査は、万能の検査にあらず
第73回 PCR検査は、万能の検査にあらず
あの頃って、PCRを受けないと外出もままならないという状況でしたよね。旅行に行く時や、人が大勢集まる場所に行く時など、まずはPCR検査を受けて「陰性証明」をもらわないといけなくて。
そうでしたよね。自費で受けられる「簡易PCR検査」みたいなものも発売されていましたけど、あまり精度が高くない検査キットもあったりして。そもそもPCR検査って、個人でやってもいいものなんですか?
うーん…そこが難しいところでして。基本的にはお医者さんがやるべきものなんです。しかも、ある程度の診断をして「この人はおそらくコロナに罹患しているだろう」という人に対して行う検査なんですよ。
へぇ。つまりコロナになっているかを「確認するため」の検査ということですか。
仰るとおりです。「この患者さんは、ほぼコロナだ」という確信に近い判断の裏付けとして、PCR検査キットを使って喉や唾液を調べるんです。それで「やっぱりウイルスがありましたね。だからコロナで間違いないです」と診断を下すと。
なるほどなるほど。つまり前提として「PCR検査で陽性=コロナに感染している」ということは言えると。
…いえ、実はそうとも言えないんですよ。というのも「陽性=コロナウィルスがいる」というだけであって、それと「感染している」こととは別なんです。
ふーむ、そうなんですね。だから「全く症状がないのに、PCR検査を受けたら陽性だった」という人もいたと。
そうなんですよ。しかし世の中は「PCR検査で陽性=感染者」という認識でしたからね。
確かにそうでしたね。ちなみに「本当は感染しているのにPCR検査では陰性が出ていた」という逆パターンも起こり得るんですか?
そうなんです。ちょっとここからは数字が多くなってしまいますが、PCR検査の実態をご理解いただくためにも、詳しくご説明させていただきますね。
ぜひお願いします!
まずPCR検査の「感度」というものからお話します。感度というのは、実際に症状が出ている方に検査をした時に、陽性になる割合のことなんですが、コロナのPCR検査の感度って、どれくらいだと思います?
うーん…90%くらいはあってほしいですね。
実は、かなり良心的に見ても、70%程度なんです。つまりコロナに感染している人のうち30%はPCR検査を受けても「陰性」が出てしまう計算になります。
へぇ〜。あれだけ「PCR検査を受けろ」って言っていたわりに、意外と精度は低いんですね。
そうなんですよ。そしてもう1つ「特異度」について。これは感染していない人に対して「陰性である」ということを表す割合なんですが、コロナのPCR検査は99%の精度があります。
ほう、そっちはかなり正確なんですね。つまり感染していないのに「陽性者」になってしまうのは1%だけだと。
そうなんですが…ちょっとシミュレーションしてみましょう。仮に人口10万人の都市があったとします。その全員がPCR検査を受けたとする。以前の対談でもお話したとおり、日本人の感染率は約0.1%だと言われているので、10万人のうち100人が感染している計算になりますよね。
ふむふむ。…でもそれくらいの人数だったら、そんなに大げさに心配する必要もなさそうですね。残り9万9900人は感染していないってことですから。
ええ。でもその「感染していない人たち」もひっくるめてPCR検査をするとどうなるか。まず「感度70%」なので、感染者100人のうち30人は陰性になります。
そうか、本当は感染しているのに「感染していない」と判断されてしまう人が30人も出てくるわけか。
ええ。一方で「特異度99%」ということは、9万9900人のうちの1%…つまり999人は、陽性だと判断されてしまうんです。
ははぁ…全員にPCR検査を受けさせたことで、実際に感染している100人のうち30人は「陰性者」になっているのに、全く感染していない999人が「陽性者」になってしまうわけですね。
そういうことです。この場合、70人+999人=1069人が「陽性」だと言われるわけです。でもこの計算でいくと、1069人のうち本当の感染者は70人だけになりますので、陽性者とされた人のうちの6.5%しか感染者はいない、という結果になってしまうんです。
…ということは、連日のように「陽性患者がこんなにたくさんいるんです。だから外出は控えましょう」なんて言われていましたけど、実際は「本当に感染している人数」はかなり少なかったということになりませんか?
そうなっちゃうんです。例えば「今日のPCR検査の結果、新規感染者は10万人です」という報道がされていても、こういう計算式に当てはめると実際の感染者数は6500人程度だったんじゃないかなと。
そうだったんですね! でもそう考えると、そもそも「PCR検査の陽性者」を「感染者」と呼んでいたのが間違いだった気もしますけど。
仰るとおりです。しかも日本のPCR検査は、良くも悪くも精度が高すぎるんです。というのも本来であればウイルスが10万個くらいないと「感染」はしないのに、たった10個程度でも「陽性反応」が出てしまっていたので…。
ははぁ、そうだったんですね。でもお医者さんたちは「そういうPCR検査の使い方は間違っている」って指摘しなかったんですかね。知らなかった…わけはないですよね?
お医者さんはちゃんと知っていたはずです。でもなんといいますか…「エセ専門家」のような人たちがテレビで盛んに「PCR検査を受けろ」と言っていたり、国の方針に逆らえなかったり、というような事情があったのかなとは思います。
なるほどなぁ。でもそれで世の中全体の流れや経済を止めてしまったという罪は大きいと思うんです。なぜ国として「間違っていました」という総括ができないんでしょうかね。
やっぱりPCR検査で大きく儲けた人がいるからじゃないですか(笑)。
なるほどなぁ。きっと言いたくても言えないような裏事情があるのかもしれないですね(笑)。
対談している二人
久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家
仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。