この対談について
健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。
第83回 菌と人間は共存共栄の関係
第83回 菌と人間は共存共栄の関係
最近よく「腸活」という言葉を聞くんですが、その意味をある人が「細菌と仲良くすること」と言っていたんです。でもよくよく考えると、人間に悪さをする菌もいるわけじゃないですか。ということで今日は、「人間にとって菌は敵なのか味方なのか」を教えていただきたくて。
それで言うと「敵・味方」という発想自体が、すごく人間本位だという感じがします。というのも、菌の側は人間と「共存共栄」していると思っているはずなんですよ。
ほう。共存共栄ということは、つまり菌も人間に頼っているし、人間も菌の力を借りているということですか?
そうですそうです。もっと言えば、菌がいないと人間は生きていけないんです。そういう視点で考えれば、「細菌と仲良くする」という表現も違和感はないですね。
うーん…そこがどうもピンとこなくて。発酵食品やヨーグルトが菌の働きで美味しくなるというのは理解できるんです。でも自分の体の中に常に「菌」がいるのは大丈夫なのか、と。潔癖症の人だったら絶対耐えられないと思うんですけど(笑)。
笑。以前、腸内には善玉菌と悪玉菌がいるとお話しましたが、これも腸内細菌、つまり紛うことなき「菌」なわけで、事実人間の体には菌がいるんです。ところがそれら菌のバランスが何らかの理由で崩れると、腸内が乱れて具合が悪くなる。
確かに、そう言われてしまえばその通りなんでしょうけど。でもあらためて考えると不思議だなぁと。
自然界の食物連鎖と一緒だと思うんですよね。人間を襲うからと狼を殺してしまったら、今度は鹿が増えすぎて農作物の被害が増えちゃった、みたいなことがあるでしょう? 同じようなことが人間の体内でも起こっていると考えるとわかりやすいと思います。
あぁ、なるほど。確かにわかりやすい。
だから人間にとって「悪い菌」だとしても、それを考えなしに排除してしまったら、何かしら状況が悪くなるかもしれない。場合によっては「良い菌」が突然悪さを始めるようになるかもしれないわけです。
ふ〜む、まさに食物連鎖の話と同じですね。それまでは適正数だったから可愛く見えていた鹿も、数が増えすぎて農作物を荒らすようになったら、やがては駆除の対象になってしまう。
そうそう。そういった絶妙な「ハーモニー」のようなものが地球にも人間の体内にもあって、それをつまりは「自然の摂理」と呼ぶのでしょう。逆に言えば、「ハーモニー」を乱すと何かしらの不都合が起きるということなんだと思います。
なるほどなぁ。ところで自然界の菌は、動物の死骸なんかを細かく分解して、土に還してくれますよね。でも人間の場合、体内に入った食べ物は胃液などの消化酵素で溶かせるし、わざわざ体内で菌に分解させなくてもいいような気もするんですけれど。
そもそも消化酵素で分解していくときに菌の助けが必要なんです。しかも分解していく過程で、菌が体に必要なビタミンを作ってくれたりもする。
へぇ〜、そうなんですか。知らなかったです。単に消化して吸収させればいいというような話ではないんですね。
ええ。菌の働きのおかげで、人間の体に必要なものが新たに生成される。そうやって私たちの健康は保たれているわけです。
菌ってすごいんですね。ちなみに人間の中に必要な菌っていうのは、人種や年齢なんかでも変わってくるんでしょうか?
変わると思います。以前にも「身土不二」という考え方をお伝えしましたが、やはりその土地特有の菌はいて、そこで育つ食べ物にも影響しているはずで。だからそこに住む人にとって「合う菌」というのは、当然あると思いますよ。
なるほどなぁ。ということは日本古来の発酵食品を積極的に食べることが菌との共生の第一歩になりそうですね!
対談している二人
久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家
仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。