第96回 他人の幸せを願うことが、長寿遺伝子を活性化させる

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第96回 他人の幸せを願うことが、長寿遺伝子を活性化させる

安田
先日、南こうせつさんのインタビュー記事を読んでいたら「健康の秘訣は、人の幸せを願うことだ」って仰っていたんです。久保さんは「健康」を研究していらっしゃいますが、「他人の幸せを願うことができる人は健康で、他人の不幸を願うと病気になる」という考え方、どう思いますか。

久保
仏教でいうところの「自利利他」ですよね。その通りだと思いますよ。
安田

じりりた…どういう意味なんでしょうか?


久保
「相手の幸せ=利他」のために修行や努力をすることが「自分の利益=自利」になるという意味です。そして私はこの「自利利他」の考え方が、人間にはあらかじめ組み込まれていると思っているんです。
安田
ほう。「他人の幸せを願う感覚」が生まれながらに備わっているというわけですか。それはどうして?

久保
まず1つに、人間が直立二足歩行になったことで出産がとても難しくなったこと、があります。
安田
まっすぐ立ち上がるようになったから、骨盤や産道が狭くなり、結果的に赤ちゃんも小さい状態で産まなくてはいけなくなったんですよね?

久保
そうそう。人間以外の動物は、ほぼ生まれた瞬間から自分で歩けたり餌を探したりできるじゃないですか。でも人間の赤ちゃんができることと言ったら、せいぜい哺乳するくらい。
安田
確かに。歩けるまでに1年かかりますよね(笑)。

久保
ええ。人間の赤ちゃんは超未熟な状態で生まれるので、誰かの手を借りないと生きていけない存在なんですね。つまり、助けられないと死んでしまう。
安田
そうかそうか。つまり子どもを育てる体制として、「自利利他」の発想は不可欠なわけですね。

久保
そういうことです。そう言った背景から「人助けをすると遺伝子が活性化する」と思っていて。
安田
ほう。生物学者の福岡伸一さんが、まさにそういうことを研究されているそうですよ。人助けをすると活性化する遺伝子があるって。

久保
ああ、そうでしたか。人間はすごく社会的な動物で他人の目、評価を赤ちゃんの頃から必要としている。他人の温かい視線、対応によって遺伝子というか、心が活性化するのだろうと考えているんです。
安田
なるほど。結果自分が健康になるなら、まさに自利利他ですね。でもよく考えてみたら、人を妬んで引きずり降ろそうと思っているような人で、めちゃくちゃ体が健康っていう年配の方、あんまり見たことないですもんね(笑)。だいたいが不健康ですよ。

久保
そう言われるとそうかもしれない(笑)。人に悪口を言えば、そのネガティブな言葉は自分にも聞こえてきますから。
安田
そうですよ。植物に悪口を言い続けると枯れていくのと同じで、人間もどんどん体が蝕まれていくんでしょう。

久保
それが仏教的に言うところの「自他一如(じたいちにょ)」に行き着くんですよね。要は「自分も他人も実は同じだよ」ということ。スピリチュアル系な方々が言うところの「ワンネス」という考え方ですね。
安田
根っこがどこかでつながっていて、この世の全ては1つに繋がっている、という考えですよね。

久保
そうですそうです。「他人のことをやっている」ように見えても、実は「自分のことをやっている」んだと。逆に言えば、誰かを攻撃していたら、自分を攻撃しているようなもの。結果的に自分が弱っていくというのは当たり前だよね、というのが仏教的なお話です。
安田
なるほどなぁ。宇宙の摂理の法則では、他人のために尽くすことが心も体も整うことになるわけですね。でも現代社会ではその気持ちが薄れてきていると感じませんか?

久保
ええ。我々はもっと「他力」で生きている、つまり1人では生きていけないという謙虚な立場を自覚しないといけない。そうでないと、どんどん生きにくい世の中になっていく気がします。昔から日本人が使っている「おかげさまの精神」を忘れてはダメなんですよ。
安田
自分1人で生きていけると思い込んでいる人が多くなってきたのが、今、日本を生きにくくしている最大の原因だという気がします。いやぁ…ますます日本の未来が不安になってきましたね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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