第104回 海外こそ中小企業のブルーオーシャン

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第104回 海外こそ中小企業のブルーオーシャン

安田

中小企業こそ世界を狙え」という話がすごく反響ありまして。倉橋さんは「中小企業は海外進出したら可能性が広がる」とよく仰っていますよね。でも日本の中小企業にそんな底力があるんだろうかと。


倉橋

あると思いますよ。海外進出と聞くとものすごく高いハードルだと感じる人が多いと思うんですけど、実際既に、日本の飲食チェーンの多くが海外展開でかなりの利益を上げているんですよね。

安田

ああ、確かに。サイゼリヤなんかはその代表例ですよね。


倉橋

ええ。CoCo壱や丸亀製麺もそうです。じゃあなぜそういう企業が海外に出るのかと言えば、シンプルに日本市場だけでやっているより稼げるからですよ。

安田

ああ、なるほど。それだけ旨味があるから進出しているんだと。


倉橋

そうそう。そういう観点で言えば、会社の規模に関わらず海外進出を検討してみる価値はあるわけです。フットワークの軽さを考えれば、大手より中小企業のほうが稼ぎやすいとすら思いますね。

安田

確かに、社長が「やるぞ!」と決めればすぐ動けるのが中小企業のいいところですもんね。かといって、なかなか海外で勝てるイメージが湧かない社長が多いんじゃないでしょうか。


倉橋

まぁ実際、中小企業の社長さんの多くは、生まれ育った街からすら出たがらなかったりしますからね。個人的には「地元」ほど避けた方がいいエリアはないと思っているんですけど(笑)。

安田

ああ、過去にもそう仰ってましたよね。実際倉橋さんは、ご自身の地元である神戸にお店は出していませんし。ちなみにどういう理由なんでしたっけ。


倉橋

どうしても見栄や人間関係が邪魔をするし、撤退もしづらい。つまり、先ほども出た中小企業の最大の強みが消えてしまうんです。

安田

なるほど確かに。それなのに多くの中小企業はまず地元で勝負し、ある程度成功したら、今度はだいたい「東京進出」を考えますよね。


倉橋

そうそう。でもね、なんだかんだ東京は日本イチの激戦区ですよ。そこで勝つには相当の戦略がなければならない。だったら競争相手の少ないエリアを探した方がいいんです。高校野球で例えるなら、東京代表より例えば島根代表を狙った方が、甲子園に行ける可能性は高そうじゃないですか。

安田

確かに(笑)。甲子園に行くということが目的なら、そっちの方が合理的ですよね。

倉橋

ええ。そうやってまずはライバルが少ない場所で勝って、実績を積んでから大市場に出ていく。それが基本的な戦略になると思います。そしてその「ライバルが少ない場所」は、日本国内である必要もないわけですよ。

安田

なるほど! 東京代表でも島根代表でもなく、フィリピンの地方都市代表でもいいと(笑)。

倉橋

まさにそういうことです(笑)。それに、海外なら大都市でも勝負しやすかったりするんです。例えば東京都とバンコクはどちらも人口1000万人ですが、勝率で言ったら絶対にバンコクの方が勝ちやすい。競争環境がぜんぜん違うので。

安田

なるほど〜。人口規模は同じでも、海外ならブルーオーシャンで戦えるかもしれないと。アジア圏は伸びしろも大きいですし。

倉橋

そうそう。だからもし既に地方でうまくいっているビジネスモデルがあるなら、それをそのまま海外に持っていく、というやり方を検討してもいいと思うんです。

安田

なるほどなぁ。そう言われると、海外の方が可能性がある気がしてきました。とはいえ、やっぱり「海外は怖い」というイメージが根強いのも事実ですよね。

倉橋

「外国は危ない」「騙される」って、ステレオタイプの人が多い気がします。でもそれはそう思い込んでるだけだと思いますよ。それに、例えば自分の会社じゃない別の会社の話として「北海道の郊外にある焼き鳥屋さんが次に出店すべきは札幌かバンコクか」と聞かれたら、意外と皆さん「そりゃバンコクでしょ!」って言うと思うんですね。

安田

ふ〜む、確かに。自分ごとになると急に弱気になってしまうと。

倉橋

もちろん、初めて海外でビジネスをするのは簡単じゃないし、二の足を踏んでしまう気持ちはよくわかりますけどね。ただそこの発想を転換するだけで、成功がグッと身近になるのになぁと個人的には思っていて。

安田

それを聞いて「アフリカで靴を売る」という逸話を思い出しました。「誰も履いてないからめちゃくちゃ売れるぞ」って思う人もいれば、「靴を履く習慣がないんだから一足も売れないぞ」って思う人もいる。

倉橋

まさにまさに。そこで「めちゃくちゃ売れるかも」という視点で世界を見れたほうが、チャンスは掴みやすいんじゃないかなと。

安田

確かになぁ。それにクオリティに厳しい日本で結果が出ている商品やサービスなら、海外でも十分戦えそうですし。

倉橋

仰るとおりです。日本で黒字を出すのは本当に大変なことですから。そんな中で戦ってきた商品は、まさにダイヤモンドだと思います。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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