第107回 万代がフランチャイズ化しない理由

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第107回 万代がフランチャイズ化しない理由

安田

今日はフランチャイズ(FC)についての考えを聞いてみたいんです。倉橋さんは万代の事業をFCにする気はないんですか?


倉橋

結論から言うと、FC化は難しいと思ってます。万代は店舗ごとにサイズや中身が違うし、コンテンツも地域ごとに変わるので。パッケージ化がそもそも合わないんです。

安田

ああ、なるほど。とはいえ、今の調子で万代が成功を続けていたら、「うちの地方でもやらせてくれ」って人が出てきそうですけど。


倉橋

ありがたいことに既にそういうお話は何度もいただいてまして。でも今の方針としては直営のみなので、申し訳ないですがお断りしてるんです。

安田

は〜、そうなんですね。「FCってロイヤリティでがっぽり」なんていうイメージもありますけど、そういう稼ぎ方にはあまり興味がないわけですか(笑)。


倉橋

笑。というよりは、会社も店舗も「変わっていけること」が前提でないといけないと思っていて。FCは基本「変わらないモデル」なので、そもそも自分たちの思想と合わないんです。

安田

確かにフランチャイズは統一された仕組みが魅力ですもんね。逆に言えば変化に弱い。そのスタイルが合わないわけですね。


倉橋

ええ。もちろんしっかりしたモデルを横展開している企業には敬意を持ってますけどね。ただうちは「変われる組織」にこだわっているので、方向性が違うなと。

安田

変化ということでいうと、そもそも流行り廃りがある業態だと、FC展開って難しそうですよね。高級食パンとか一瞬で消えましたし。


倉橋

その通りです。コンビニなんかは、テストマーケティングを繰り返して、うまくいく商品を見極めている。もちろん中には失敗することもあって、例えば一時こぞってドーナツを打ち出してましたけど、定着しなかったですよね。

安田

ありましたね、コンビニドーナツ。確かにもう全然見ませんね。


倉橋

ああいうのもFCのデメリットなんですよね。本部の判断が外れると加盟店にもダメージが行く。そしてそうなったとしても上に文句は言いづらいっていう。

安田

FCは「選んだ親に従う」ビジネスですもんね。自分の判断の余地がないと言うか。

倉橋

そうです。もちろん、逆のパターンもあるわけですけど。例えばコンビニドーナツが爆発的にヒットして定着したら、むしろ利益の柱になっていたかもしれないし。そういう意味でも、どういう親を選ぶかっていうのは結構責任が伴いますよね。

安田

なるほどなるほど。でもどうなんですか、万代自体のFCは無理でも、万代の中に例えば飲食のFC店を入れる、みたいなことは考えませんか?

倉橋

さすが鋭いですね(笑)。実は以前たこ焼きチェーンを万代の店舗に入れようかなと思ったことはあるんです。時間をかけて開発するより、完成されたFCのほうが早いだろうなと。その時点ではちょっと条件が合わず見送りましたが、可能性としてはゼロじゃないですね。

安田

ああ、やっぱりそうですよね。パーツとして取り入れる感じというか。ただし、やるなら親選びは慎重にという。

倉橋

仰るとおりです。子どもと違って、FCの親は自分で選べますから(笑)。

安田

ははぁ、いい言葉ですね(笑)。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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