第129回 「商品」と「サービス」、本当に儲かるのはどっち?

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第129回 「商品」と「サービス」、本当に儲かるのはどっち?

安田

万代さんはリユースショップとして「形のあるもの」を売ってますよね。一方で私は、採用コンサルみたいな「形のないサービス」を売ってきました。この「有形」と「無形」、売る側の感覚ってやっぱり違うと思います?


倉橋

全然違うと思いますね。だから僕、安田さんのことをすごく尊敬してるんです。形のないものに価値をつけて売るなんて、自分には全くできないので(笑)。

安田

いやいや、私は逆に「形のあるもの」を売って利益を出してる人を尊敬しますけど。


倉橋

いや、本当にすごいですよ。例えば安田さんがやっているウェブマガジン。あれなんてまさに「無形の象徴」みたいな商品ですよね。僕自身、あのウェブマガジンの恩恵をすごく受けてますから。

安田

そう言ってもらえるとすごく嬉しいです。ちなみに、これから起業しようという人にアドバイスするとしたら、どっちをおすすめします?


倉橋

僕は店舗ビジネスという「有形」の世界でしか成功体験がないので……やっぱりおすすめできるのは「有形」の方になっちゃいますね。

安田

なるほど。でも実は私も「有形」をすすめるだろうなと思うんですよ。よく「コンサルは原価がかからないから利益率100%ですごく儲かる」なんて言われますけど、実際はそんなに甘くない。


倉橋

確かにそうでしょうね。無形だからこそのハードルはあると思います。

安田

そうなんですよ。例えば洋服を買う時に「一緒に選んであげる」というサービスを単体で売るのはすごく難しい。なぜかと言えば、セレクトショップに行けば、センスのいい店員さんが無料で選んでくれるからです。


倉橋

ああ、なるほど。要するに、無形のサービスで料金を取るより、服のような有形の商品を買ってもらうほうが早いということなんでしょうね。

安田

そうそう。「形のない価値」を「形のある商品」に乗せて売るほうが、収益化しやすいんですよね。万代さんのお店も、「楽しさ」というサービスを提供して、クレーンゲームや古着という「モノ」でお金を頂いているわけじゃないですか。


倉橋

ああ、言われてみれば全く同じ構造ですね。でも僕がコンサルティングビジネスを見ていて「難しそうだな」と思うポイントは、圧倒的に「リピート」なんですよ。安田さんの今のウェブマガジンはリピートするじゃないですか。

安田

確かに、毎月続いていくものですからね。

倉橋

でも昔やられていた採用コンサルティングはどうでした? 僕も経験ありますけど、ノウハウを吸収されたら「じゃあ次は自前でやります」って、2年くらいで契約が終わっちゃうでしょう?

安田

その通りです。採用コンサルは仕組みを作ったら終わりの「卒業モデル」なんです。だから常に新規のお客さんを探し続けなきゃいけない。

倉橋

そこがしんどいですよね。やっぱり商売は「100%リピート商売」であるべきだと僕は思うんです。有形だろうが、無形だろうが。

安田

つまり「有形か無形か」以上に「リピートするかどうか」が重要だと。

倉橋

僕はそう思います。リピートがあれば翌年の売上も見込めますし、会社を売却しようという時だって評価額が全然違いますから。

安田

ああ、確かに。ずっと新規集客し続けなきゃいけない自転車操業のビジネスは、誰も買いたがらないですもんね。

倉橋

だからこそ、リピートしてもらうための仕掛けを常に考え続けることが商売なんです。例えばチラシを撒いて集客しても、それで来るお客様はライバル店がもっと安いチラシを出せばそっちに行きますから。

安田

定着しないわけですね。でも住宅販売なんかはどうですか? 家なんて一生に一度の買い物で、リピートさせようがない気がするんですけど。

倉橋

リピートしない商売なら、圧倒的なブランディングで「高くても欲しい」と思わせるようなものを作らないと厳しいでしょうね。

安田

確かになぁ。そう考えると、個人が起業して、将来的にあまりあくせく働かずに生きていきたいなら、やっぱり「お客さんが定着してリピートしてくれる商売」を選ぶべきですね。

倉橋

そうですね。それでも、どんなに良い店でも「2割は必ず離脱する」という法則があります。リピーターを大事にしつつも、その減った2割を埋めるための新規集客はやっていかないといけない。

安田

万代さんもその法則に沿って経営されているんですか? それとも「あくまで100%のリピートを目指すぞ!」という意気込みなのか。

倉橋

気持ちとしては「100%リピート」のために頑張ってますけど、でも現実的には新規の取り組みもやり続けてます。年末年始みたいな繁忙期は新規のお客様が来てくれるチャンスなので、そこでいかに魅力を伝えてリピーターになってもらうかが勝負ですね。

安田

なるほど。やっぱり「リピートするかどうか」がビジネスの核だと。となると、起業する人へのアドバイスとしては、「リピート率の高い仕事を選べ」になりますか?

倉橋

そうなりますね。ちなみに安田さんのワイキューブの時はどうだったんですか?

安田

まさにリピートの壁にぶち当たってましたね。売上が30億円になった時に、抜けていくお客さんと新規で入ってくるお客さんがちょうどイコールになっちゃったんです。バケツの穴から漏れる水と入る水が同じになった。

倉橋

なるほど。拡大の限界点だったんですね。

安田

そうそう。それなのに無理やり拡大しようとした結果、1人当たりの収益が落ちていったんです。当時はそんなこと考えもしなかったですけどね。

倉橋

僕の行ってるジムも同じことを言っていましたよ。1店舗の会員数は大体1000人で安定するんですって。だから1000人を割ってきたらヤバいけど、それ以上に無理に拡大しようとも思っていないと。

安田

自分のビジネスの「適正規模」と「リピートの限界」を知る。これが経営の鉄則なんですね。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

Twitter  Facebook

株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから