第139回 「禁止事項」の多い店がお客様から選ばれない理由

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第139回 「禁止事項」の多い店がお客様から選ばれない理由

安田

倉橋さんがXで書かれていた「お客様商売はどれだけ自分たちの都合をお客様の都合に変換できるか?」という言葉が非常に気になってまして。この「自分たちの都合をお客様都合に変換する」というのは、具体的にどういうことなんでしょうか?


倉橋

例えば海に行ったとき、海の家で「ここで着替えないでください」「シャワーは30秒しかないです」「砂を落としてから入ってください」と、禁止事項がいっぱい書いてあるところがあるじゃないですか。あれって全部、お店側の都合なんですよね。

安田

確かに。そういう自分たちの都合ばかり押し付けちゃダメだと。


倉橋

そうです。スーパー銭湯でも、当たり前のことも含めて禁止事項が山ほど書いてあるところがあって。一番びっくりしたのは、露天風呂の横に「植木にお湯をかけないでください」って書いてあったんです。

安田

へぇ。露天風呂で楽しくなって、ついお湯をかけちゃう人がいるんでしょうか。木が枯れてしまうから管理の都合で禁止したいのはわかりますが、それも「自分たちの都合」だと。


倉橋

ええ。スーパー銭湯の本来のコンセプトって、リラックスしてもらったり楽しんでもらったりすることですよね。楽しんだ結果として思わずお湯をかけてしまうなら、それはお店にとって本望だと思うんです。極端な話、木が枯れたら植え替えればいいわけですから。

安田

ふ〜む。でも「お客様都合」を突き詰めると、「お客様は神様です」みたいな、「100%お客様のイエスマンであれ」という考え方になってしまいませんか?


倉橋

そこはあくまで自分たちのできる範囲の中でサービスをよくしていく努力は必要だと思っています。お客様が何をしても100%OKというわけではもちろんなくて、例えば他のお客様が不快になるような迷惑行為であれば、そこはきっちりとノーと言わなければなりません。

安田

ふむふむ。他のお客さんに迷惑がかかることなら禁止してもいいけれど、誰にも迷惑がかからないなら禁止すべきではないと。その切り分けが重要なわけですね。


倉橋

その通りです。お客様を喜ばせることを考えているか、お客様の行動をチェックして管理しようとしているかの違いだと思うんです。自分たちの都合、つまり「後で掃除が大変だから」という理由で禁止するのはダメだよ、ということです。

安田

倉橋さんだったら、絶対にそんな禁止事項は書かないと。


倉橋

そうですね。管理優先で禁止事項ばかりになると、以前お話した「薄暗いスーパー」のように、お店全体からエネルギーが失われてしまうんです。リラックスや楽しさがコンセプトなら、そちらを優先しないといけない。

安田

なるほど。これがもし植物園だったら、植物を大事にするのが目的なので「変なものをあげないでね」は正当な理由になるんでしょうね。でもスーパー銭湯でそれを言うのはコンセプトから外れていると。

倉橋

仰るとおりです。あと、飲食店の男女兼用トイレで「男性の方も座って使ってください」という張り紙が最近増えていますよね。あれも、お店の掃除が楽になるという「自分たちの都合」が透けて見えると、少しがっかりしてしまいます。

安田

私は「皆のトイレだから綺麗に使おう」という意図なら賛成派なのですが、お店側の都合が理由ならそれもよくないということですね。それは自分たちで掃除してください、と。

倉橋

禁止事項が多すぎる店は、自分の都合を言いすぎなんだと思いますよ。それを見るだけで、お客さんの購買意欲や楽しさが半減してしまう。そういうお店は大体、商売がうまくいかなくなっていきますね。

安田

なるほど。つまり「こうした方がお客さんが喜んでくれるから」という理由でやることが「お客さん都合」ということなんですね。

倉橋

そういうことです。お客様が快適に過ごすためのルールならOKだと思います。例えば定休日や営業時間も、究極の「自分たちの都合」なんですよ。本来であればそこもお客様都合で考えた方がいい。

安田

ははぁ、定休日もですか。確かに「休みたい」というのは店側の都合ですからね。銀行だって正月も休まず営業するべきだと。

倉橋

極論ですが、そう思います。「〇〇しないでください」と連呼することで、どんどん購買意欲が下がっていってしまいますから。

安田

なるほどなぁ。「お店の都合」を優先するのではなく、「どうすればお客様のためになるか」という発想に切り替えることが大事なわけですね。今度からお店に行く時は意識して見てみようと思います。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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