“生粋の商売人”倉橋純一。全国18店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第40回 海外と日本の商売人の温度差
今日は、最近よく海外に行かれている倉橋さんに「海外と日本の商売の違い」について伺えたらと思います。海外で買い物をする時って、当たり前のように値引き交渉するじゃないですか。でも日本にはそういう文化がないですよね。
大阪のおばちゃんくらいですかね(笑)。そういう特定の地域以外は、そもそも最初からできる限り安く設定しますよね。
そうそう、基本的に「正直」なんですよ。相場を知らない観光客だからと、高く吹っ掛けることもしない。でもそれって「商売人」としてどうなんだろう、という気もして。
同感です。別に値上げするのは企業の自由なのに、その理由が仕入れ価格の高騰のような仕方のないものだった時ですら、お詫びから入りますもんね。中には値上げを実行できず、売上が減って閉店してしまうお店すらある。
ここ30年のことでしょうね。物価も上がらないけど、給料も上がらない。経済全体が停滞ムードになってしまっていた時期に、そういう感覚が定着してしまったんでしょう。
そうですね。でも今はさすがに物価も上がり始めて……
ええ。2022年頃から流れが変わって、物価がどんどん上がってきた。結果人件費も上がって、企業は商品の値段を上げざるを得なくなってきました。もはや「値上げ=悪」などと言っている場合じゃない。
最近海外によく行くので顕著に感じるんですが、熱量は明らかに低いですよね。東南アジアの人たちの商売の仕方を見ていると、命がけで挑んでいるような気概を感じます。
確かに、商魂たくましい感じがしますよね。「売れるものを売って何が悪い!」という強さがあるというか。例えば日本だと転売する人、いわゆる転売ヤーをすごく叩く風潮がありますけど、海外には「転売がよくない」という概念もないでしょうし。
ああ、なるほど。自分で責任を負いたくないんでしょうね。
まぁ日本全体がそういう感じですもんね。大きく成功することより、失敗しないように、負けないように、と考えている。結果、じわじわと負け続けていることにはなかなか気付けない。
なるほどなぁ。でも日本の場合、労働法があるから残業もさせられないし、厳しく教育したらパワハラだと訴えられる。
なるほど。まさに万代さんが目指すところというわけですね。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に18店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。