第42回 「集客」と「採用」の共通点

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国18店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第42回 「集客」と「採用」の共通点

安田

倉橋さんって常に集客のことを考えている、まさに「集客のプロ」ですよね。一方、私も採用の会社をやっていた頃は、「採用のプロ」として採用のことばかり考えていました。


倉橋

ああ、僕もお世話になった頃ですね。

安田

ええ、そうです。で、「集客」と「採用」をあらためて並べてみるとみると、どちらも「人を集める」という意味では同じなんじゃないかと気付きまして。


倉橋
なるほど、おもしろい切り口ですね。確かにアプローチは似ていると思います。お店にしても会社にしても、まずは興味を持ってもらうところから始まるわけですからね。たくさんある候補の中から選んでもらわないといけない。
安田

そうですよね。万代さんは採用活動も自社で行っていると思うんですが、集客と採用ではどちらの方が難しいですか?


倉橋
うーん、どちらも難しいですね(笑)。集客に関しては、これまでもずっと「どうすれば興味を持ってもらって、商品を買ってもらえるのか」と考えてきたわけですが、いまだに100%の答えは出ていない。そして安田さん仰るように、採用も同じなんですよね。
安田
わかります。採用は採用で非常に奥が深いもので。でも世の中には、「集客はすごく上手なのにそのノウハウが採用に生かされていない会社」がけっこう多いんですよね。マーケティングでリードを獲得することには積極的なのに、求人サイトの作りはやけに甘いとか。なぜそんなことになっちゃうんですかね?

倉橋

集客と採用を別物だと捉えてるんだと思います。僕自身もそれらが同じロジックだと気づくのにけっこう時間がかかりましたから。

安田

ほう。つまり倉橋さんも最初は別物だと思っていたわけですね。


倉橋

そうです。ハッキリ気付いたのは、SNSを使い始めてからでしょうね。「あ、採用も集客と同じなんだ」って。

安田
なるほど。そう気付いたキッカケがあったりしたんですか?

倉橋

いろいろありますけど、PRのやり方に共通点を見つけたんですよね。「大手企業の採用手法」と「テレビCMをバンバン流しているような商品のPR」はアプローチが似てるんですよね。同じ意味で、「ベンチャーや中小企業で働きたいという人」と「ニッチな商品を買う人」も似ている。

安田

ああ、確かにそうですね。逆に言えば、「ターゲットの人物像や商品の特徴に合わせてPR方法を変えていかなきゃいけない」ってことですよね。


倉橋
本当にそうなんです。小さな会社が大手と同じような採用手法を取っていたらうまくいかない。きちんと欲しい人材の思考を考えて設計しないといけないんです。
安田
そうですよねぇ。でも世に出ている求人広告って、だいたい同じような内容じゃないですか。待遇とか社風とかやりがいとか、そんなことばかり書いている。集客は一生懸命考えるのに、なんで採用についてはちゃんと考えないんだろうかと不思議で仕方ないんですよ。

倉橋
「採用まで考えている時間がない」「人手不足で考えられない」みたいな反論が出てきそうですけど(笑)、でも実際はそこまで窮していない気もしますね。要するに、採用に対してそこまで真剣じゃないのかもしれない。
安田

なるほど、それは鋭い視点な気がします。つまり、本当に困っていたら採用についても真剣に考えられるはずだと。


倉橋
そうそう。逆に言えば、もし採用に本当に困っているのに大手と同じようなアプローチをしているのだとしたら、たぶん集客もうまくいってないんじゃないかなぁ。
安田

ははぁ、確かに! 採用が下手な人は、集客も下手だということですね。


倉橋

まぁ実際に見たわけじゃないからわからないですけど、その可能性は高い気がしますね。中小企業が大手と同じやり方で勝てるはずはないのに、そこに気付けていないわけですから。求職者からしたって、同じ条件なら大手の方に行くわけで。

安田
本当にその通りだと思います。一方で集客についても、何となく雰囲気が変わってきたなと思っていて。少し前までは「お客様は神様だ」なんて言われるくらい、「社員が下でお客さんが上」という図式がありましたよね。でも今はだいぶ対等になってきたというか。

倉橋
ああ、よくわかります。ヘコヘコされるより、対等な感じで一緒に楽しみながら買い物できる店の方が人気になってますよね。「店員が楽しく働いているお店の方が買い物していても楽しい」という感じに変わってきたんでしょうね。
安田

ですよね。そう考えると、集客と採用の境目が曖昧になってきているということなのかもしれませんね。このテーマについてはまた考えていきたいと思います。

 


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に19店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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