“生粋の商売人”倉橋純一。全国18店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。
第43回 販路を増やすことが先決な理由
少し前にXで「販路を増やすことが大事」だとポストされてましたよね。販路、つまり販売手法やプラットフォーム、あるいはお客さんの種類なんかを増やせば仕入れも増やせると。
仰るとおりです。もっとも、それは僕らの業界だから言える話かもしれませんね。リユース業って、お客様からご要望をいただいてから商品を探すことが多いんです。言わば「販路が先に見つかっている状態」ということですね。
ああ、なるほどなぁ。そういう意味で言えば、私が長く関わっているBtoBのビジネスは逆なんですよ。まず商品を作って、それから「買ってくれる人にどうアプローチするか」を考える。先に販路を見つけておいて、その後に仕入れる商品を増やしていく、という発想があまりないんです。
でもそういうのとは別に、業界にかかわらず「ビジネスは絞り込まないと失敗する」という見方もありますよね。あれもこれもと手を広げすぎて失敗するケースも多々あるわけで。
ありがとうございます。皆さんのおかげです。
でも倉橋さん、「お客さんの要望に応える」と一言で言っても、そう簡単じゃないと思うんですよ。全員の要望に応えられるわけでもないだろうし。そういう中でどうやってビジネスチャンスを見つけるんですか?
そうですね…例えば万代では出張買取をやっているんですが、「貴金属を売りたい」というお客様がいたとしますよね。
そうそう。で、お宅に伺うんですが、宝石や貴金属をコレクションしてる人って、割と他の物も集めていたりするんですよ。お酒とか洋服とかバッグとか。
ああ、確かにそうかもしれない。
なるほど、おもしろいです。確かにリアルでは売れないけどネットだったら売れる商品があったり、国内では売れないけど海外で売れたりすることもありますもんね。
そうか。ただ単に幅が広がるだけでなく、その中でヒット商品を生み出す可能性も上がるわけですね。とはいえ実際にやろうとすると大変じゃないですか? 宝石の査定だけでも難しいのに、お酒や古着、さらにフィギュアの査定までやらないといけないわけでしょう。
いや、やっぱりすごいですよ。普通「その商品は扱ってないので買い取れません」で終わりにするところ、むしろ商品に出会ったことを「ビジネスチャンス」だと捉える。それを機に販路を広げて、さらに大きな事業にしていくと。
ああ、そうでしょうね。全然ジャンルが違うというか。
ははぁ、なるほど。その方たちが「そろそろ手放そうか…」と考え始めているタイミングだと。
いやぁ、さすがです(笑)。ちなみにどの範囲まで買い取るんですか? 万代さんって趣味の品もたくさん扱っていると思うんですけど、おもちゃから一眼レフカメラまでとなると、キリがないような……
ああ、なるほどね。「いい一眼レフがあったら声かけてください」という業者さんとの付き合いがあれば、それも販路の一つになると。
なるほど。それがリユース事業の仕組みなわけですね。おもしろいなぁ。
対談している二人
倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表
株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に19店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。