第71回 他業種から掴むビジネスのヒント

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第71回 他業種から掴むビジネスのヒント

安田

倉橋さんはいろんな商売を研究して、そこで得たヒントを自分のビジネスに活かしてますよね。すごいなと思うのが、同業だけでなく全然関係なさそうなビジネスも研究しているところで。


倉橋

ありがとうございます。でも無理をしてそうしているわけでもなく、他業種の方が発見があったりしてすごくおもしろいんですよ(笑)。

安田

なるほど(笑)。とはいえ、おもしろがっているだけでは自分のビジネスへの活用はできないでしょう? そのあたりはどうされているんですか?


倉橋

まず前提として、自社のビジネスとして「やる」業種と「やらない」業種を決めているんです。たとえば宿泊業はやらない。リピーターになってもらうまでの時間が長くかかりすぎてしまうので。

安田

ははぁ、なるほど。万代さんはむしろリピーターメインのビジネスですもんね。でも逆に言えば、「じゃあ宿泊業は研究しなくていいか」となりそうですけど。


倉橋

確かにそうなんですけど、集客やマーケティングの方法など、ヒントをもらうことも多いんです。その業態をそのままやることはないけれど、小さなアイデアが万代に活きることは多々あるので。

安田

ははぁ、なるほどなぁ。例えば「星のや」さんはファミリーをターゲットにして成功してるじゃないですか。業態は違えど万代さんとターゲットは同じなわけで、そのあたりはやっぱり意識されるわけですか。


倉橋

リノベーションに力を入れている会社さんですよね。昔からある旅館をリノベーションして、付加価値をつけて販売するのがすごく上手で。直接的に参考にしているわけではないですが、すごいなぁと思いながら見ています。高級旅館の雰囲気を味わいたい人をうまく取り込んでいるなと。

安田

ああ、なるほど。確かに高級っぽさを感じられるけど、リッツカールトンほど緊張しない。絶妙な立ち位置と言えるかもしれません(笑)。


倉橋

そうそう(笑)。雰囲気の作り方や見せ方も上手ですよね。値段設定もターゲットにすごくマッチしていると思います。

安田

本当にそうですよね。私自身、以前泊まった時は正直そこまで高級感が感じられなくて、それなら老舗のホテルに泊まった方がいいなと思っていたんです。でも子どもができてから久しぶりに行ったら、非常によくできてるなと。


倉橋

安田さん自身が、星のやさんのメインターゲットであるファミリー層になったことで、感じ方が変わったんでしょうね。

安田

ええ、まさに。家族でちょっといいところに泊まりたいね、という時にピッタリなんですよね。あちこちに子どもが喜ぶ仕掛けがあって、退屈せずに過ごせるんです。


倉橋

わかります。実際、万代としてもお子さんへのアプローチは学ぶところが多いです。あと、ターゲットの絞り込み方も参考になりますね。単なる家族連れというだけでなく「高級旅館ビギナー」をピンポイントで狙ってますから。

安田

ああ、確かに。ターゲットがかなり明確ですよね。

倉橋

ええ。価格やサービス内容も、それをベースに決めているはずです。例えば「界シリーズ」で提供される食事は、すべて一ヶ所のセンターで作られてるんですよ。

安田

そうなんですね! それは知りませんでした。ということは、どこで泊まっても同じ料理が出るということなんですか。

倉橋

そうです。ただ、メニューが日によって違う可能性もあるので、全く同じ料理が出るかはわかりませんが。それでも「どこに泊まっても同じクオリティを提供する」という姿勢が一貫していて、ある意味潔いと思いますね。

安田

本当ですね。それにしても、一つの会社でもこれだけ発見があるわけで、それをどう活かすかはセンスが問われる部分ですよね。

倉橋

そうですね。「ユーザー目線」と「経営者目線」の両方で見ることで、どこを取り入れるべきかが見えてくるんじゃないかと思います。

安田

なるほど。お客さんとして楽しめるかどうか、と、経営者として自社に合っているかというのは別の視点で考えると。

倉橋

そういうことです。その上で、ビジネスモデル全体を真似するのではなく、アプローチや施策などを独自にアレンジして取り入れる姿勢が重要だと思います。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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